青春の“東住吉区”光と影

大阪市東住吉区は私が生まれ育った町。まあ何の変哲もない住宅街中心のエリア、全国的にはせいぜい長居スタジアムが有名といったところでしょうか。ところがこの一週間たらずのあいだに2つのニュースがこの町に脚光を浴びせました。ひとつは世界的レベルの大偉業、そしてもうひとつはとてもやりきれない悲しい事件で…。

まずは“影”のほう、悲しい事件から。6歳の女の子が数年前から行方不明になっていることがわかり、大阪府警は児童手当をだましとったとして詐欺容疑で両親を逮捕、母親の供述では出産直後に女の子は死亡し、遺体は海に捨てたとのこと。行政の踏みこみの甘さも浮き彫りとなったこのニュースはあまりにもつらいのでここまで。

つぎに“光”のほう、区内に住む114歳の女性が世界最高齢としてギネスにも認定されるとのこと。ふつう最高齢うんぬんで登場する老齢のかたって、地方ののどかな山村でゆったりと暮らしていらっしゃるイメージがあるじゃないですか。このかたが住む特養老人ホーム、知ってますけどけっこうホコリっぽいところですよ。

感想を求められたこのかた「もうおばあちゃんになりましたわ…」と。はいはい、それは重々承知しております。いかにも関西人らしいこの“ボケ”は愛らしいけど、このおトシのかたに“ボケ”と表現するのもなんだか。ともかく30年前に亡くなったウチのおばあちゃんよりふたつ年上だと思うと、その長寿ぶりにリアリティを感じます。

114歳でまだまだお元気なご婦人と不幸にもあっという間の命だった女の子。あまりにも隔たりのある人生が、同じ町それも自分が生まれ育った町に横たわっていたと思うと、たまたまのこととはいえ、どうとらえていいのやらという気持ちになりますね。いままでそれほど大きな出来事と縁がなかった町だけになおさらです。