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2020年03月18日16:02

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ギャオスは何を選ぶのか、その10

「あ、忘れてた」
 もう夜も深いというのに、筆者は声を上げてしまった。
「な、なんだよ」
 ギャオスが驚いて畳んだ‎羽根に首を入れて隠れてしまった。ギャオスよ、それ、ガメラに似てるんじゃないかなあ。お前は、首を甲羅に引っ込めるガメラが卑怯だって言ってたじゃないか、と、そう思ったが、それは言わないでおいた。
「お前、小説を書いてるんだよなあ」
「あ、ああ、でも、地球用じゃないよ。俺の星用の小説だよ。ガメラとの闘いとか、ウルトラマンの陰謀に一人立ち向かうギャオスの赤ちゃんの話な」
 それは、ガメラにもウルトラマンにも読ませないほうがいいように思う。筆者は、ちょっと不安を覚えながら、二人しかいない部屋なのに声を顰めて尋ねてみた。
「その小説に登場するガメラの名前ってあるんだろうな」
「当たり前だろ、小説なんだから、ガメラは、ノロ・マカメだよ。ウルトラマンは、トラカワ・カブル。あいつららしい良い名前だろう」
 彼の小説が地球の言語に翻訳されないことを祈りたい。
「お前さあ。星に帰される前に、地球を追い出されるという不安とかないのか」
「どうしてだよ。だって、酷い目に合わせてるんだろう。小説の中で、ガメラもウルトラマンも」
「そうでもないぞ。地球侵略を諦めたガメラは最後、改心して、首を引っ込め手足を引っ込めて、小さな星の重石になるんだ。ちゃんと活躍させてるんだよ」
「いや、重石って」
「重石がないと漬物が出来ないんだから、大事なんだよ。ウルトラマンはな」
「いや、それはいいや。少し話をもどそうか」
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