【ひしょばこ】
秘所箱、秘所棚と呼ばれることもあり、秘所歯と言う文字をあて、妖怪の歯だとされている地方もある。
都会の死角、町の死角、あるいは、賽の河原などの一角に出没。妖怪そのものの目撃事例はなく、ただ、それらの場所に、こっそりと本が二冊、三冊置かれているだけのもの。これが、子供たちの間で、妖怪の歯が本になるのだと噂された。教科書サイズの本の大きさの歯を持つ妖怪ということで、ずいぶんと大きなものだということになるのだが、それにもかかわらず、その姿を見た者がないところがこの妖怪の特徴となる。
噂によれば、この妖怪は勉強しても勉強しても賢くなれない人たちの怨念が積み重なることによって一匹の妖怪となったということだ。妖怪になっても、賢さは養うことが出来ず、夜中に人目を忍んで現れては、歯が痒いと泣きながら、歯を掻き、その時に、数本の歯が抜け、それが本になるのだと言われている。
目撃証言はないが、この歯が痒いという声を聞いたという話は多く残っている。また、この妖怪の歯であったところの本を拾うと、バカになってしまうとか、優等生が突然に勉強嫌いになってしまうとされ、子供たちには恐れられている。ところが、どうしようもない落ちこぼれの子供は、この妖怪の本を拾ったことをきっかけとして、逆に勉強が出来るようになるとも言われている。
江戸妖怪篇はこちらで
http://www.rokumeikans.net/yokai/yokai_01.html
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