mixiユーザー(id:1280689)

2016年08月01日21:07

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シン・ゴジラ

 新時代の「日本沈没」でした。
 第1級の国家論であり、第1級の防衛論であり、また第1級の組織論でもある、実に見ごたえのある、重量級の娯楽作品であります。

 ・・・まあ、理屈っぽい言い方は避けるとしましょう。

 とにかくこの作品、徹底した災害シミュレーションであると同時に骨太の大活劇でもありまして、2時間強のランニングタイムを全く飽きさせません。

 つまり、実に面白いのですよ。

 セリフや映像の情報量がハンパないため、いろんな側面から面白がることも可能ですしね。おそらく年季の入ったファンは、物語を楽しむ傍ら、至るところに仕込まれたオマージュや小ネタを楽しんだことでしょう。
 特に、ゴジラの最初の上陸地点が「あの場所」であったことにニンマリされた方も多かったのでは。
 私などは、クライマックスで使われた「あの曲」に、ただ涙でありました。
 そうなんですよー。人類の存亡を賭けた決死の戦いには、あの音楽はぴったりなんです。ああいう選曲センス、嬉しいなあ。ついでに言うとこの作品、ゴジラが本格的に上陸するまで、いっさい「劇伴」が使われてないんですね。そういう抑制された音楽演出も見事だったと思います。

 もうひとつ嬉しかったのは、本作が骨の髄まで「岡本喜八リスペクト」映画だったこと。
 岡本さんの大ファンで、特に「激動の昭和史 沖縄決戦」が大好きという庵野秀明が、ついに自分なりの「沖縄決戦」を作り上げたんだなあ、と、感慨もひとしおですよ。
 圧倒的な物量と火力で迫る米軍を迎え撃つ沖縄第三十二軍の壮絶な死闘は、本作におけるニッポン対ゴジラの構図にそのまま重なります。
 また、長谷川博己の「最後まで、あきらめずにやろう」というセリフは、「沖縄決戦」における小林桂樹の「この沖縄に一木一草ある限り、最後まで戦いを続けましょう!」というセリフに呼応していると思いますね。
 そういえばこの作品、役者さんのアップがやたら多い上に、セリフの区切りに合わせてカットを割るといった「岡本タッチ」が随所に見られましたね。こういうところも、ちゃんと意識してやってるんだなあ。

 本当は、他にももっともっと書きたいことがあるんですが(例えば、自衛隊の描写について)、まあ、ここはじっと我慢。まだまだ未見の方もおられるでしょうし。

 子供の頃に浴びるように特撮ものや映画を観て「かっこいー! いつか俺もあんなのをやってみたい!」と思っていた人々が、寄って集ってやりたい放題やりまくって作り上げた、夢の怪獣映画。

 それが、「シン・ゴジラ」なんですな。

 いやー、堪能しました。
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