新しい財布は秋デビューかな

この1月に亡くなった叔母の香典返しは、「タカシマヤローズセレクション」という商品カタログから希望の品をひとつチョイスするものだった。残念ながら絶対的に欲しいものが見つからず、嫁ハンも「好きなの選んだら」などとこちらにゲタを預けてきたから、ここは叔母の形見分け的な存在のものがいいと思い男物の長財布をいただくことにした。

現在使用中の財布とは26年、四半世紀をこえるつきあいだ。当時資生堂のブランド「TACTICS」が化粧品だけでなく衣服やグッズなどのトータル展開をしていて、そのなかにあった黒い長財布を、まだヒヨッコ社会人だった私はなんばCity内の「THE GINZA」で買い求めた。欧州経由の高級ブランド物というわけでもないから背伸びの具合はちょっとだけだ。

しかしここまで長いつきあいになるとは。さすがに表面の「TACTICS」というエンボス文字は摩耗してもはや判読不可能だし、内側のちょうつがい部分の表皮はすっかりハゲるわ、外側の角や縁はほころびるわ、まるで引退間際の大関・魁皇のごときボロボロ具合だ。もはや潮時かなと思い、カタログに同じ色合い・サイズのものが見つかったので今回のチョイスとなった次第。

とりあえずこの夏の終わりまでは26年添いあった財布に最後のご奉公、汗ばむ季節に思いきり汗ばんでもらってこの秋から新しい財布をデビューさせようと思っている。考えてみれば26年なんて嫁ハンとのつきあいより長いのだ。嫁ハンと財布、双方ともその間よそに目移りするような浮気心は一切なかったということにしておこう。