「最高の花婿 アンコール」〜笑う多国籍軍

多国籍ファミリーによる異文化バトル、さまざまな人種が交わるいかにもフランスらしいコメディ。前作に引き続き本国では大ヒット、ヴェルヌイユ夫妻の娘たち4人はそれぞれアラブ人・ユダヤ人・中国人・コートジボワール人と結婚、観ていないけどここまでに至る顛末をドタバタ的に描いたのが前作の大筋だったように思う。

とりあえずは一家をロワール地方の名門セレブという、あまり現実味のないポジションに置き、物語のリアリティというか生ぐさい感覚を排除。4姉妹はそろってチャーミング、なかでも長女イザベル(フレデリック・ベル)は際立って美しく、四女(エロディー・フォンタン)はいかにも末っ子然とした強気の面構えなのが興味深い。

当然ながら人種の違いをベースにした差別的ともとれるセリフが飛び交うが、やはりシリアスなところまでは踏み込めず、どこか軽いジャブを打ち合うような寸止め感。いや、観るひとによってはけっこう毒入りブラックの連続に感じるかも。そう、これはある意味観る側の差別意識を試している作品かもと思ったりする。

基本的にはノーテンキなコメディなので破綻のない着地を見せるが、ファミリー喜劇に必須の“泣かせ”は意外なところから飛んできた印象。セリフに著名人の名前がけっこう引用されたり現代社会的小ネタはあふれんばかり。同じ東洋人としてはできたら中国人のシャオ(フレデリック・チョウ)にもっと活躍してほしかったけど。