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2025年09月05日10:58

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映画「海辺へ行く道」

アーティスト支援をうたっている、海辺のちいさな町。

理沙子(剛力彩芽)は、移住アーティストたちの住宅あっせんが仕事。
そこへ入居することになった高岡(高良健吾)とヨーコ(唐田えりか)。
しかし高岡は包丁の怪しげな実演販売で、おばちゃんたちを集め大いに売れるが、すぐに「包丁、切れなくなった」と苦情が。それを見計らうように、高岡とヨーコはけっこう気に入ってた町を逃げ出す。

奏介(原田琥之佑)は中学2年で、親戚の寿美子(麻生久美子)とふたり暮らし。
美術部員で、夏休みということもあって、後輩の良一(中須翔真)や、先輩のテルオ(蒼井旬)とアート作品を作るのに没頭。
作品展を見た「A氏」と名乗るナゾの男(諏訪敦彦)から依頼され、奏介は古文書の絵にあった「人魚」の立体模型を作ることに。
テルオは、親しくしている老女を喜ばせようと、彼女の亡き夫の精巧なデスマスクを作って彩色、それをかぶって彼女のもとに現れるのだが、親族からとがめられ、高校は退学処分に。
でもテルオはめげず、東京の美大を夢見ている。

奏介は、人魚模型のほかにも、新聞部のほのか(山崎七海)から、介護施設のケアマネの「虐待疑惑」取材に協力してほしいと言われたり、演劇部から、舞台背景に使う絵を描いてくれと依頼されたり、大忙しだ。

静香(坂井真紀)は、波止場で限定ランチを販売していて、いつも買いに来るのが、中学の同級生だという五郎(宮藤官九郎)。
なぜかいつもダイバースーツを着て、泳いで海から上がってきて、ランチを食べるのだ。

理沙子があらたに、真ん前が海の住宅を紹介したのが、自称・彫刻家のケン(村上淳)。
彼女はケンに恋してしまう。
理沙子の友人で、奏介の叔母であるメグ(菅原小春)が、やってくる。
メグの目的は、アーティストに貸し付けた借金の回収。
実はケンもその対象だった。作品も作らず、借金を抱えていると知って不安になる理沙子。

そして、奏介たちは、丸く、黒く塗られた円型の紙を使って、ケンの住まいの床に張り付け、「穴があいた」ように見せかけて写真を撮る。
たしかにそれはまさに大きな穴をうがったように見えてしまう造形だった。
ケンがそこからどこかへ逃亡したかのように。

奏介、良一、テルオたちは、流木を集めて、ダイナミックなオブジェを作り上げる。
夏も終わろうとしていた。


ストーリーらしいストーリーがあるわけでもなく、大事件が起きるわけでもない。
ある意味、ヘンな映画なのだが、2時間20分の長尺を飽きずに見せてくれる。
主役の原田琥之佑の、アート大好き少年の生き生きとした躍動感がなにより好感度大なのだ。
「創作すること」のわくわく感、喜びがよく出ている。
そして登場するおとなが、ひとくせもふたくせもある、ヘンな人ばかり(;´∀`)。
おまけに、うるさいと苦情が来たことで始まったという、この町の「声に出さない、笑わない、音楽掛けない」というナゾの盆踊りが繰り広げられるシーンは、爆笑モノだった。

メグがもらった、カナリアを模した笛とか、奏介が作る人魚とか、男の子たちの創作したオブジェとか、出てくる造形がどれもユニークで、創作って自由なんだよな、と思わされる。
ロケの多くは小豆島で行われ、瀬戸内国際芸術祭2025正式参加作品だ。
青い海と、海辺の風景はほんとうにすがすがしい。

原田琥之佑くんは、3年前「サバカン」という長崎が舞台の映画で、元気な小学生を演じていたが、「大きくなったな〜」と、これからの成長が楽しみ。
「SABAKAN〜サバカン」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983229709&owner_id=5348548

そして、本作「海辺へ行く道」を見る動機になったのは、やはり横浜聡子監督作品だったから。
「いとみち」も傑作だったけど、大阪の映画祭で横浜監督ご本人に会ってお話をして、そのお人柄に触れたこともあり、この作品も見たいな、と思ったのだった。
原作はマンガだそうだけど、たしかにマンガチックな物語ながら、海辺の町の美しさ、少年のパワフルさを思う存分描いてくれた気がする。
「大阪アジアン映画祭 横浜聡子監督短編特集」
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981835575&owner_id=5348548

(9月4日、KBCシネマ)

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