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2025年03月11日18:33

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「こびとが打ち上げた小さなボール」

・こびとが打ち上げた小さなボール(1978) 作:チョ・セヒ
韓国文学のロングセラーである。200刷を越えて現在まで読み継がれている。
朴大統領の軍事政権時代、韓国は「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を成し遂げた。その反面、貧しい労働者たちは過酷な重労働と低賃金に喘いでいた。

身長117センチの父と三人の兄妹が工業都市ウンガンで極貧の生活を送る。全12篇の連作短編で底辺住民の生活を描き出す。読むのが辛いほど生々しい迫力に満ちている。短編は一応決着がつくが、他のエピソードにリンクしていく。時おりブルジョアの息子の視点が導入されて、物語を立体的に盛り上げる。外部から来た活動家や住民の支えとなる牧師が登場するが、本筋はこびと一家の記録だ。父親は「月の天文台で星を眺めながら暮らしたい」と語る。地上には苦痛と不幸しかないからだ。切ない。いざり・せむし・めくら等の差別用語が無造作に使われるのに驚くが、本作の世界にはふさわしい。無難に言い換えても意味ないからね。

70年代に共産主義が流行ったはずだ。資本主義の権力者が彼等の台頭を恐れたはずだ。ソ連崩壊のころ、「共産主義は全員で貧しくなろうと言う思想だ」などとしたり顔でぬかす奴がいた。食うに困ったことのない輩の妄言である。
作者は今でも本作が読まれている事実を「嘆かわしい」と言ったそうだ。形は変わっても格差は世界中に根強く残っている。
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