読書日記です。
・台北裁判(2021) 作:唐福容
作者の容の字が違うけど、探せないので代用しとく。
台湾の裁判小説だ。出稼ぎインドネシア人船員によって、船長一家三名が惨殺された。住民も世論も死刑を望むが、公設弁護人のトンは被告が中国語を話せないことに注目し、家庭介護士として働くリーナを通訳として雇う。代替役(という役職がある)の連を加えたトリオが絶望的な状況に挑む。
被害者の船長と連は同じ漁村の出身で、アミ族だ。漢族に故郷を追われ、漁師として働いている。さらに立場の弱い下働きとして、インドネシア人労働者がいる。
台湾特有の複雑な民族構成に加えて、莫大な利益を上げる水産業者は、政治的発言力が強い。台湾は世界の魚介類水揚げ総量の三割を占めているそうだ。そんな巨大産業だったのか。勉強になったし、裁判ミステリというより社会小説として、抜群の読み応えだった。
途中で止められないほど刺激的な読書体験をさせてもらった。最高点でも良いのだけど、読後感がモヤッとする。ネタバレになるので、理由は書かない。被告が同国人の通訳にも心を開かないのが、ストレスたまる。これはインドネシア人同士でも言語圏が異なるから、無理ないのだが。
本作は社会問題を包含した純文学だ。最初からそのつもりで読めば最高点だった。★★★★
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