旅行中に飛行機の中で読んだ横溝正史作品。角川文庫の黒カバーだ。最近再版されたので入手しやすい。映画と連動した横溝ブームから50年も経ってるのに驚いた。
・壺中美人(1960)
金田一の中編二作を収録する。表題作は、壺に細身の美人が入る中国手品がテーマだが、トリックに手品が使われるわけでもなく、平凡な犯罪小説だ。
「庭園の鬼」(1955) 主要人物は映画スタッフと俳優で、ロケ地が殺人現場となる。横溝作品は角川映画のずっと前からしばしば映画化されていたので、作者が見学に行った時に着想を得たのだろうか。こちらの方が面白いけど、動機が不明なのがいただけない。★★
・死神の矢(1961)
娘の婿を弓の腕比べで決めるという変てこな趣向がユニークだ。強引ではあるが、プロットが緊張感に満ちており、わりと好きな作品だ。
併載の短編「蝙蝠と蛞蝓」は、素人の第三者が金田一を観察するパターン破り。最後の数行が笑える。爽やかな後味が心嬉しい佳作である。★★★
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