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2024年03月09日14:10

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1659

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1659       

一穂ミチ 「光のとこにいてね」          

3年前にこの著者の「スモールワールズ」を読んで
感動したことを覚えている。6つの物語が著されて
いて、主婦や少年、老人など、さまざまな人が登場
するが、いずれも家庭に恵まれていなかったり、
思うようにいかない人生に悩んでいたりと問題を
抱えている。その喜怒哀楽を上手に描きながら、
人の生きることの希望を示すことに共感をおぼえた。

今回は長編で二人の女性の友情物語。結珠は医者の
父と母、兄の4人家族で戸建てに住んでいる。
菓遠はシングルマザーの母との二人暮らしで団地
住まい。共に小2の子どもだ。この接点ができそうに
ない二人なのだが、結珠の母がボランティアと称して
団地にいる男に会いにいき、母が男と会っている間
結珠は団地に住む菓遠と出会い一緒に遊び仲良くなる。
だが、結珠の母と男は突然別れ、結珠は菓遠と会えなく
なってしまう。

次に二人が再開するのが高1。結珠は私立の小学校
から同じ系列の中学、高校とエスカレートで進学
するのだが、そこへ菓遠が特待生として入学して
きた。最初はぎこちない関係だったが、新たな
友情が芽生える。だが、それは長くは続かなかった。
菓遠の家庭の事情で彼女は退学する。結珠に行き先も
知らせないままに。

月日は流れ、二人は20代後半になっている。それぞれ
結婚もしている。運命のいたずらか、彼女たちは
またも再会する・・・。

この二人、性格も家庭環境も異なるのだが、それぞれ
友人がいない。母親との関係が悪いという共通点が
あるほか、心の奥底を誰にも明かさない点も同じだ。

二人が相手のことを心配しながらも、相手の心に
入っていかない動きがもどかしい。自分のことを
見せない一方で、相手を外からそっと触れる。

最初に友情物語と僕は書いたけれど、これは愛情
物語と言い換えたほうがいいのかもしれない。
その理由は、本書を読んだ人ならわかってもらえる
かも。

あまり男女差を云々するのははばかれる時世だ
けれど、こういう小説を書ける男性作家はなかなか
いないと思う。

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