冬になると無性に観たくなる映画があります。
アリステア・マクリーンのオリジナル脚本による「荒鷲の要塞」。
重要機密を持ったアメリカ軍将軍が敵の手に落ち、イギリス軍情報部は彼の奪還を企図。情報部の腕ききスミス少佐と、同じく情報部のベテランたちがチームを組み、アメリカ軍将校シェイファー中尉と共に敵地深く潜入するが・・・、という戦争サスペンスであります。
残念ながら、あの「ナバロンの要塞」のような緻密さに欠け、妙に捻ってもったいぶった展開のせいでひどくモタモタした作りになってます。おまけにドイツ兵は無造作にバッタバッタと殺され、敵の弾は主人公たちにはかすりもしないというご都合主義。
気象条件も爆弾の爆発も全てお味方側に利するように描かれていて、観ているうちになんだか色々出し抜かれているドイツ軍が気の毒になってくるほどです。
しかも結末がなんとも拍子抜けするようなものでして、散々大掛かりにドカンバリバリとやっといて、作戦の真の目的がこれ?・・・とガックリ。
上映時間2時間36分の大作で、お屠蘇気分で観るにはいいですが、どうにも困ったものなんですよね。
にもかかわらず、私がこれを嫌いになれないのは、「冬の寒さ」「雪の冷たさ」がかなり執拗に描かれているからなんですね。ウィンタースポーツ大好きな私にとってはたまらないご馳走なんですよ。
リチャード・バートンやクリント・イーストウッドが本物の雪の中で寒さを堪えつつ重装備で行動している姿を見ると、「おお、やっとるのう」と気分が上がってきちゃうんですよねえ。
あと、本作の見せ場の一つであるロープウェイでのアクション。これがまた実にスリリングで。今見ると合成丸出しで「なあんだ」と思っちゃうような出来なんですが、それでも結構、手に汗握ります。
スキーや春山登山で時々ロープウェイやゴンドラを使うことがありますが、そのたびに「荒鷲の要塞」での凄絶な空中格闘を思い出してしまう私であります。
こう言う作品を観てしまうと、最近のドンパチ映画はスケールが大きくて派手ですが、どうも・・・と思ってしまいます。
今日「エクスペンダブルズ ニューブラッド」を観てきましたけど、困りましたね。
出演者の「老い」は仕方がないし、危険なシーンをCGで処理するのも仕方がない、とは思いますが、なんだか活劇としての心意気や矜持までもが衰えてしまっているようにも感じられます。
地味でもいいから作り手の本気度を感じさせるような、本物志向の熱い活劇を見せて欲しいですねえ。
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