・サーカスから来た執達吏(21) 作:夕木春央
本屋で見かけて買った。作者の本は、
「方舟」メチャ面白い 「絞首商會」いまいち
「十戒」そこそこ面白い
という評価だ。4冊目の本書は、ものすごく面白かった。タイプが違いすぎて比較できないが、「方舟」より気に入ったかも。
大正14年、落ち目の樺谷子爵家に、サーカスから来た少女ユリ子が訪れる。「おかね返してください」。
三女鞠子は担保としてユリ子に預けられ、少女コンビは震災で全滅した華族の隠し財産を探すことになった。
しったつりと言うのは、借金取り立て人のことらしい。初めて聞く語句だ。陰気な文学少女・鞠子と天然の野生児・ユリ子の取り合わせが絶妙だ。互いの長所を生かして大活躍する。古きよきジュビナイル探偵小説が現代によみがえった感じだ。主人公が服従を強要されがちな少女というところが斬新で現代的である。
銭に狂った亡者のくせに、家名だの婦女の道だのとほざくジジイどもに赤っ恥をかかせる活躍の何と痛快なことか。冒険小説として面白いだけでなく、ミステリとしても良くできている。消えた財宝に暗号解読にネタバレ回避のため書けないトリックと盛りだくさんだ。
傑作で快作である。単なる後ろ向きな名探偵なんか願い下げだが、本作のようなリニューアルは大歓迎だ。
★★★★★
ログインしてコメントを確認・投稿する