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2021年07月10日15:40

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「ライトハウス」〜漆黒の狂気

全編モノクロ作品、舞台は1890年代ニューイングランドの孤島。ベテラン灯台守のトーマス(ウィレム・デフォー)と、前職はカナダで木こりだったという見習いの若手イーフレイム(ロバート・パティンソン〜「TENET テネット」に出ていた)、絶海の灯台およびその周辺の管理を任じられたふたりはソリが合わず険悪な空気のまま…。

カラー作品でもさほど変わりはないのではと思わせるほど、果てしない漆黒が続く大海原、そしてよどんだ空気の満ちた灯台内部。常に高圧的な態度を取るトーマスを疎ましく思うイーフレイム、お互い酒が入った時だけは対等な関係になれたような気もするが、やがてトーマスは大時代的な言葉を駆使、結局は罵倒の時間が続いていく。

鬱屈の日々が続くイーフレイム、閉ざされた空間のなか次第に現実と幻覚の境目がなくなり、狂気をはらんだ不穏な言動に傾いていく。妄想・幻想・悪夢…このあたりからトリップ感にあふれる映像表現が何度となく織りこまれ、もしカラー作品であれば、あまりにおぞましくてとても見ていられないようなシーンもいくつか待っている。

海鳴りなのかカモメの鳴き声なのか、それとも単なる効果音なのか、作品全体を覆う不気味な響きが凶々しさを強調、ロバート・エガース監督(前作は同じニューイングランドながら1600年代を舞台にした「ウイッチ」)は、いわゆるホラーとかダーク・ファンタジーとはまったく次元の違う、濃厚な作品を作り上げたなと感じました。
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