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2019年08月02日00:30

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8月2日

 アパートの階段を降りるとアスファルト一面
蝉の死体で埋め尽くされていた
太陽光が古代兵器のように僕を焼きにかかる
「蝉と同じ運命は嫌だ」
まだ一鳴きもしていないというのに
「アイスを買いに行こう」
郵便受けを覗くと一通の赤紙
(また召集令状が届いた)
鶏皮煎餅を咀嚼するような音
スニーカーの下で炸裂させながら歩く
国家が亡んでもAIは郵便物を送り続ける
馬鹿げた話だ
本当に馬鹿げている

斜めに刺さった電柱に突然変異した青カラスが飛来する
きっとあれは人間の脳細胞を埋め込まれた偵察機
大戦末期に活躍したbio droneってヤツだ
夏空に目立たぬよう青でカモフラしている
「おい、報告すべき国はもう無いぞ」
大陸を超えて来たのか?それとも兵舎から逃げてきたのか
何れにしてもこの暑さでは数時間も持つまい
蝉の道を抜ける

足元に信号機の頭部
青になってから渡ろうと思うのだが赤が点灯したまま
仕方がないので蹴っ飛ばすとジジジと鳴って消える
信号を渡る 毎日のルーティン
「チョコ味は残っているだろうか?」
心配になる
今日はどうしてもチョコ味のが食べたい
コンビニが見える
無人のコンビニ
サイボーグ用の娯楽食を扱う数少ない店
無人配達機が荷を降ろしている
いいタイミングだ

ところであの召集令状には何と書かれているのだろう
帰還したら読んでみよう
こんな日常より
幾分かはましな戦地があるかもしれない
この世界に戦争に必要なほどの命が残っているとは思えないがな

このままじわじわと放射能に犯されて死ぬくらいなら
兵器としての自分を活躍させて終わりにしたい
「誰かを守るための戦いなのだろう?」
なぁ応えてくれよ
消滅した国家に問う

以上
本日の日誌

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