mixiユーザー(id:44534045)

日記一覧

どっちも
2020年05月30日07:08

「え?なんて言ったの?」「聞こえただろ」「聞き取れなかったの。『いっしょう』って言ったの?『いっしょ』って言ったの?」「分かってるだろ?どっちもだよ」

続きを読む

矛盾愛好家
2020年05月23日10:30

僕は矛盾を愛してやまない最適解のないパラドクス永遠に答えを求め合う二人の関係がまさにそれ

続きを読む

思惑のおはなし
2020年05月20日20:02

「かつ重、小盛で」 と、なるたけ活舌よく大きな声で言った。マスクをしているからいつも以上にはっきりとオーダーしたのだ。「はーい」 と、おばちゃんは返事を返して、振り向きざま厨房に叫ぶ。「かつ重小盛でーす」 俺はいつもの椅子の隅に陣取り、スマ

続きを読む

加減のおはなし
2020年05月17日02:25

 なんだか店の外がうるさい。気になって見に行くと、さっきの客二人連れが何やらもめている。いや、もめてるというより、上司っぽい方が、新人っぽい方を一方的に叱っているという図式。「さっきのやっぱおかしゅうないか?」「さっきの?」「お会計の時のお

続きを読む

ブラックレインボー
2020年05月16日13:16

 クレヨンをグ―握りして僕は虹を描く。色は適当。12色もあるのだ十分だ。 画用紙もでかいし。 ぐんっと弧を描く、赤で青で黄緑で。そのうち虹らしいのができた。 でも子供の僕は満足できなかったんだ。だからさらに色を重ねた。本物の虹に似せる気はさら

続きを読む

きぬもめんたる
2020年05月13日02:03

(豆腐の声が聞こえる) ドラッグストアのお総菜コーナーで僕は立ち止まり、豆腐の声に耳を傾けていた。 豆腐の囁き、皆さんご存知の通りその殆どが、大豆だった時の思い出話や、製造されるときの体験談なのだが、その日は違った。(私は木綿じゃない!) 豆腐

続きを読む

地軸になってキスをした
2020年05月09日23:14

背伸びして貴方の肩に手を置いて爪先立って私は傾くちょうど地軸とおんなじに私の角度は23度私は地軸と一直線真っ直ぐに貴方を見つめ真っ直ぐに貴方に焦がれそして真っ直ぐに怯えている貴方がいればきっと正しい地平線が見える貴方とこうしていれば水平線が綺

続きを読む

戦争のない空
2020年05月07日21:20

「今年の新兵は活きがよさそうじゃないか?」「どうだかな。まぁ、明日からのしごきに耐えられればいいが」 同僚との雑談。入隊式を終え、兵舎へ帰る道すがら。「ま、こんな状況じゃあ、ゆっくり新兵を育てている暇なんかないがな」 川一つを隔てた向こうは

続きを読む

真の悟り?
2020年05月06日17:26

 滝に打たれながら考えた――(この滝行を終えれば、本日を以って千日行は満願だ) いかんいかん。雑念だなこれは――「色即是空、空即是色」 心を落ち着け、ただ一心に禅の境地に至ろうとする。 心が澄んでくる。滝が体にぶつかる感覚が失せ、体を心をすー

続きを読む

そら
2020年05月06日13:20

兵隊さんが空砲撃った撃たれた空が死んじゃった

続きを読む

つなぎたい
2020年05月05日02:44

手をつなぎたいよ君と君と手をつないで歩きたい晴れた日は青空に向けてブランコのように手を振って雨の日は一つの傘の柄を握りしめ寄り添ってそしていつの日かいつかはきっと君と僕の間にさちっちゃな手があって二人でその手を握って公園とかに行きたいなえ?

続きを読む

ザリガニのロザリオ
2020年05月04日20:17

 用水路の脇に崩れかけたブロック塀がある。散歩の帰り道。いや散歩に帰り道なんてないのか?家に着くまでが散歩なのだから。 カラスの声が夕空に幾重もの波紋をつくる。その一つに耳を打たれ、はっと立ちどまったのが件のブロック塀の通り掛かり。コンクリ

続きを読む

うつ
2020年05月04日14:35

「ちょっとぉ誰ぇー?こんな所に鬱を置いたの」 長女の金切り声がキッチンに響く。洗濯物を取り込んでいた母がベランダから駆けつける。「どうしたの?」「『どうしたの?』じゃあないわよ!誰かが冷蔵庫の上に鬱を置きっぱなしにしてるの」「あら、やだ。ま

続きを読む

かぜ
2020年05月04日13:58

 窓を開けると風が入ってきた。聞けば春風だという。「何もこんな汚い部屋に吹くことはない。どこか別のとこへお行き」 親切心から忠告したつもりだが、風はそれこそどこ吹く風。かってにそこらを走り回っては、カーテンをスカートめくりしたり、読めもしな

続きを読む