僕は屯田兵君だけの屯田兵本当は騎士だといきりたいだけどもせいぜい屯田兵時には君のために戦い時には君のために耕すリアルで生ぬるい生活のために僕は剣と鍬を持ち替える考えてみてくれ君のために戦う男ひょっとしたらいるかもしれない君のために耕す男これ
永遠は日常に遍在するふたを開けるときもお湯を注ぐときも待つときも麺をずるずるやるときも謎肉を噛み締めるときもスープを飲み干すときも君を見つめるときもカップを捨てるときもすべてがありふれて永遠特に三分待つときはかなり永遠あと君を見つめるときは
たとえば僕は夜になり君の眠りを抱き締める街を踏みつけ黙らせて君の寝息をすやすやにする光も灯りも掻き消して暖かな闇を提供する僕という時間の中に君の意識よ溶けてゆけ君を癒すための時間そのものに僕は成り果ててしまいたいこの腕の中でとか些細なことで
蟻作(ぎさく)は働き蟻。触覚が折れ曲がっているので、餌を見つけるのが苦手。だからいつも仲間から馬鹿にされている。 朝、蟻たちは巣穴から這い出し、触角をういういとレーダーのように振るわせ餌を探す。蟻作もそうする。 昼過ぎ、蟻たちは巣に戻り、そ
夢を見た。 俺はエジプトにいて、太陽が照りつけていて、ピラミッドが遠くに霞んで見えて、フンコロガシだった。 後ろ脚が第二間接から無い。だから大きなフンは転がせない。いつも腹ペコだった。毎朝放牧地にフンを探しに行くのだが、何しろ脚が悪いので
運命ってたぶんこの時間の先に用意されたものではなく僕らの行いの後に浮かび上がるものゆく船の跡に立つ白波のようにそばにおいで肩抱いていいかい?僕らは今時間という水面に浮かぶ一艘の小舟口づけのあとに運命が生まれるこれから過ごす時間が運命になる
シャワーヘッドを足元に向け、レッドゾーンにカランを捻る。一瞬の熱湯に脚を跳ね上げ、急な冷水に小さく飛び退き、望む温度で安定するまで三万年我慢する。 鏡の隅がうっすらと曇りだした。ヘッドを恐る恐る頭上にもたげ、肩に向ける。肩に被さる温もり、
僕は孤独を飼っている。名前も付けずに。孤独、雄、今年で32才。 孤独は僕を食べる。孤独の餌は僕、正確には僕の時間。僕の時間の殆どは孤独の餌だ。でも何ら構わない。孤独は僕の分身のよう存在だから。背をそっと撫で、独り言のように語りかける。「寂し
風が吹く大地を巡り海を越え何万キロも旅をする君の髪を揺らすために光差す雲を掻き分け夜を越え何万光年も旅をする君の笑顔を照らすため風にも光にもなれない僕はなれない運動も勉強も出来ない顔もへちゃむくれだ君を喜ばせるために必要なもの何も持っていな