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2018年12月27日20:43

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宇宙と地上の片隅で ( 映画『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』

宇宙に取り残された飛行士。その帰還。というと5年前に観た傑作『ゼロ・グラヴィティ』みたいにダイナミックなストーリーと思いきや観てみれば・・・

1991年。宇宙ステーション「ミール」にひとり乗り込んでいた宇宙飛行士セルゲイ。
なんと、任務中に届いた知らせがソ連崩壊。
その混乱の煽りで彼が地球に帰還する予定が立たなくなってしまう。
文字通り「宙に浮いた」状態。って、シャレにもならない(笑)
そうしている間に彼は通算での宇宙滞在記録を達成するが、セルゲイはとても喜ぶどころではない。

そんな彼の交信を「地上」でキャッチしたのは、キューバの大学教授であるセルジオ。
無線が趣味の彼は、実はモスクワに留学してマルクス主義を学んだ経験があった。世が世ならエリート文化人であるはずなのに、故国キューバはソ連崩壊後は援助が途切れて経済危機。セルジオも教職にありながら、母親と娘の3人で爪に火を灯すような生活を強いられる。

セルゲイは宇宙の孤児と化し、セルジオの国であるキューバも国際社会から孤立している。この図式がアイロニカルで面白い。しかも、キューバ人の幾人かは良い暮らしを求めて米国へ筏で渡ろうとする。それは宇宙から地上に帰るよりも難しく危険なのに。
セルゲイとセルジオ。両者にとって「ソ連」「モスクワ」は、それぞれに抱く距離や時間こそ違え、「何もかもが懐かしい(沖田艦長!笑)」場所である。お互い無聊をかこっていだけに、思わぬ出会いに心踊るふたり。
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じゃあ、この先どう「着地させる」のか?というのは観てからのお楽しみなのですが、最初に述べたように物語はかなり緩やかにコミカル。そこにちょっとした哀愁とファンタジーもしのばされていて、キューバ映画らしいおおらかな人情味に溢れる、これはこれで愛すべき映画だ。
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フォト【予告編】https://youtu.be/wPBqUB4h6lE
宇宙での場面は『ゼログラヴィティ』並みによく出来ているのも付け加えておきたい。

〈 シネリーブル梅田で公開中 〉

これが今年の見納め映画になりました。
よって、今年は通算101本。やった!なんとか大台に乗せたぞ(笑)・・・って去年も同じことを最後に言ってなかったか?(笑)
映画レビュー。今年も拙文の数々にお付き合いいただき、ありがとうございました。

蛇足ながら、下の広場は「祭りの後」・・・
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