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2018年12月08日22:20

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『なぜ世界には戦争があるんだろう。どうして人はあらそうの?』

ずいぶん以前に図書館から貸し出したものの、ずっと未読で、いつのまにか返却日が過ぎてしまっていたのが判明。
今日の昼外食の後に慌てて取りかかって15分で読了。
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それもそのはずで、本書はわずか70ページにも満たない子ども向け図書。著者のミリアム・ルヴォー・ダロンヌさんはフランスの哲学者。
タイトルが示す通り、どうして戦争をするのか?というのをとてもわかりやすく解き明かしていく。

ヒトの攻撃性が戦争の原因なのか?
富(収穫と財産)の奪い合いが戦争の原因なのか?
戦争と文明の切っても切れない関係。(科学が進歩するほど破壊力が増す。しかし人間の叡智はそれを抑えることが出来ない)
戦争にもルールはある。しかしそれは守られないこともある。
「正しい戦争」というのはあるのか?
戦争を避けようとする平和主義的態度が過ちであったりする状況もある。
古代ギリシャの詩人ホメロスは物語『イリアス』において、戦争の勝者も敗者も同じ人間であることを尊厳をもって描いた。

掻い摘めば、こういう内容ですが、本書において、「こうあるべき」「これが正しい」ということはいっさい書いていない。大切なのは正義を教えることよりも、過去と現在の現実を認識して「考えること」。
それにヒントを与えるのは、ホッブズ、ルソー、カントといった先人たちの格言。

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ジョシャン・ギャルネールさんのモダンポップなイラストもいい。

こんな翻訳書もあるんだなあ。児童図書をバカにしてはいけない。

ただ現在の戦争は、いわゆる「非対称」。国と国との対立とは様相を異にしている。嘆かわしいことに、もっと根深い「感情的なもの」へと変容しているのだけど、そこでもやはり参考にさせられるのは風刺作家として有名なスウィフトの小説の一節(すなわち、つまらない不寛容)

レビュー評価はつけません。





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