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2018年12月01日19:41

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11月の1本と1冊

カチンコ 『ボヘミアン・ラプソディ』(布施ラインシネマ)

本 『神秘大通り』ジョン・アーヴィング
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=26940262&id=4282849
〈 次点 〉『ピネベルク、明日はどうする!?』ハンス・ファラダ

映画は、もう文句なしの選出!
もっとも、『ボヘミアン〜』に比類出来そうな力作に、あんまりお目にかからなかった巡り合わせもあるのでしょうが。
それにしても、今なお絶賛上映中の大人気。「ロック映画/伝記映画は大ヒットしない」という映画興行界の先例を軽々覆したのだから恐れ入るばかりです。配給会社もこれには驚かされたらしい。
https://withnews.jp/article/f0181201000qq000000000000000W07q10101qq000018415A
やっぱりクイーン/フレディ・マーキュリーの偉大さが改めて敬服。
で、自分の日記でずいぶんミスリードな事を述べてしまった自戒も込めて・・・(汗)
だからリンクは貼りませんよあせあせウッシッシ

以下良かった順。
フォト『search サーチ』(TOHOシネマズなんば』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969010609&owner_id=26940262

フォト『嘘はフィクサーのはじまり』(シネリーブル梅田)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969050525&owner_id=26940262

フォト『ガンジスに還る』(テアトル梅田)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969193565&owner_id=26940262

フォト『THE COLLECTORS さらば青春の新宿JAM』
(なんばパークスシネマ) https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969328700&owner_id=26940262

フォト『ポルトの恋人たち 時の記憶』
(シネマート心斎橋) https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969262957&owner_id=26940262

フォト『銃』(テアトル梅田)

フォト『ライ麦畑で出会ったら』(テアトル梅田)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969104959&owner_id=26940262

フォト『えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました』
(テアトル梅田) https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969367338&owner_id=26940262

『銃」の原作は、芥川賞作家、中村文則のデビュー作。監督は『百円の恋』(14年)の武正晴。
大学生のトオルはある雨の夜、ホンモノの拳銃を拾う。
とんでもないモノを手に入れてしまったという怖れ。しかしこれさえあれば自分はいつでもどこでも威力を行使出来る。自分の身の周りにある世界は全て我が掌中だ。という禁断の全能感、高揚感、孤独感がないまぜになって次第に彼を狂気の世界へと誘っていく・・・
という魅力的なプロットなのだけど、原作を「こなしてない」、引きずられたような重ったるさが終始感じられて、個人的にはちょっと楽しみきれなかった。
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その中で一頭地を抜く存在感を放っていたのが、リリー・フランキー演じる刑事。彼がトオルに疑いの目を向け、揺さぶる役周りなのだけど、蛇の道は蛇的、全てを見透かす凄味がたっぷりだ。観てるこっちもトオルの身になる気圧されようがたまらない。
そして、やっぱり見所はラスト7分のドンデン返し(?)か。
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『ピネベルク、明日はどうする!?』は、去年の夏に公開された映画『ヒトラーへの285枚の葉書(原作は「ベルリンにひとり死す」)』の作者ハンス・ファラダが1930年代に出した小説で、本国ドイツでは今も多くの方に読まれ、何度もドラマや舞台化されているという超ロングセラー。

23歳の青年ピネベルクと、ひとつ下の女性エマ。ふたりが軽はずみに「デキ婚」するところから物語が始まる。
ふたり(後に3人)を待っていたのは貧困。当時のドイツは大不況にあえぐ時期。ピネベルクはいわゆる「ホワイトカラー」で、手に職も無く、誰かに雇われなければ収入を得ることができない。ようやく見つけた就職先も過酷な社内環境で、それがピネベルクの心を疲弊させていく。そして遂に・・・。
しかし内助の功を尽くそうとするエマは決して希望を捨てない。

ピネベルクが置かれている辛い状況は、確実に今の時代にも通底するものが読んでいて見えてくる。終盤、エマがふたりを知るある人物に言う。「お金じゃないんです。彼に必要なのは仕事なんです。」仕事こそが人の尊厳を築き、守るもの。
長い失業生活で落魄しきったピネベルクにエマが健気に優しく声をかける終幕がほんとうに涙ぐましい。やっぱり愛だなあ。

辛いストーリーにもうひとつの灯をともすのはユーモアだ。ふたりの周囲に絡む人達の人間臭さ。あるいは不思議な(怪しい?)魅力。会話中心の軽快な描写、豊かな生活感などヒューマニティー溢れる小説としての面白味がたっぷりだ。今も多くの人に読まれ続けているのもわかるような気がした。
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この時期はナチスが政権を握る前夜。共産党がそれに対抗し、左右の対立はドイツの国民も分断していたことがストーリーにしのばされているのも見逃せません。
レビュー評価は★★★★

『小川』キム・チュイ
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=26940262&id=2896019

『ナチスに挑戦した少年たち』フィリップ・フーズ
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=26940262&id=4554728

『銅像受難の近代』平瀬礼太
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=26940262&id=2544748

『巨人ファンはどこへ行ったのか?』菊池高弘
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=26940262&id=4491217
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