DIVAをやりにセラングーンNEXへ行った。ビルの軒下で煙草を吸っていたら、罰金の切符を切られてしまった。シンガポールは「罰金」と「良い」の両義をかけてFine Countryと呼ばれている。良いと思ったことは数限りないが、罰金は取られたことはなかった。
本当にそんな制度があるのか?と思っていたくらいだ。在住十六年めにして、初罰金である。慣れて甘く見てはいかんなあ。実は細かく罰金規定があって、「ゴミのポイ捨て」とか「公衆便所でウンコを流さない」などが対象となる。私は紳士だから、ふつうはまず引っかからないが、唯一可能性のあるのは喫煙の習慣だ。やめてしまえば一番いいんだけどね。本数は若いころの半分以下になっているので、やめられないこともないのだが。
大御所の代表作は完読したつもりだったが、ブラッドベリが残っていた。河出文庫というチェックから漏れがちなところから出ているし、ごく最近まで健筆をふるっていたから知らない作品もある。しかも他の大御所と違って、この人は劣化しない。だから晩年の作を無視することはできない。新旧取り混ぜて読んでいく。
・塵よりよみがえり(01)
丘に建つ屋敷に、魔物の一族が集まってくる。昔読んだ記憶があると思ったら、同一設定の短編を連結したらしい。短編は夢中で読んだが、本書はそれほどでもない。
独特の退廃的な雰囲気は快い。この世に人外の種族がひっそり暮らしているという設定も、何やら嬉しい。だがある程度の長さになると、一貫したストーリーが必要なのではないか。少なくとも私は抒情性だけの長編を読むのは、ちと辛かった。
★★★
・とうに夜半を過ぎて(76)
22作収録の短編集だ。ああ、やはり作者は短編の人だな。ほとんど外れのない珠玉の短編集だ。ファンタジー要素があるのも無いのも、すべていい。何より小説として面白い。
特に印象深い作品を挙げると、
『青い壜』望みのものが入っている壜があるらしい。SF寓話とでもいうのか。
『罪なき罰』未来では罰を受けず殺人できる。そのはずだったが。アンドロイドSFの秀作とも呼べるし、法解釈の理不尽さや人間心理を描いた文学作品でもある。
『永遠と地球の中を』宇宙時代が来たが、星間航行や異星を描ける文学者は、もういない。1938年のSF作家をタイムマシンで呼び寄せることになった。作家がモチーフの小説は山ほどあるが、本作の設定は飛びぬけてユニークだ。
『いとしいアドルフ』完璧にヒトラーを演じられる役者を使えば、ナチスを再興できる?発表当時より、現在のほうが読む価値がある。
『ジェイミーの奇跡』脳内で勝手にルールを作る。私も子供のころ、よくやりました。成長と共に奇跡は消える。常識的には、もともとなかったのだろう。が、もしかして?
『日照りの中の幕間』夫の暴虐に耐える妻。ブラッドベリの世界では、夫婦でメキシコ旅行すると、ろくなことにならないようで。
表題作はある業種の一夜を切り取って見せる。暗い妙な余韻が残る。
『十月のゲーム』最も怖い一篇。<そのとき・・・よせばいいのに、だれかがあかりをつけた。> 本当によせばいいのに。
『板チョコ一枚おみやげです!』こちらは最も笑えて心温まる好篇である。
バラエティと文学性に富み、エンタメとしても最高点だ。★★★★★
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