mixiユーザー(id:2615005)

2017年11月11日19:07

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『この世の春』宮部みゆき

・この世の春(17)作:宮部みゆき
あっという間に読んだ。宮部作品は読み始めたら、引っかからず最後まで行ってしまう。

北見家藩主重興は26歳の若さで乱心し、隠居を強制された。郷士上がりの側近・伊東成孝は切腹を命じられたという。作事方の娘・多紀は、幽閉された重興の世話係を命じられる。乱心の原因は、秘匿すべき藩の暗部が関わっているらしい。

上巻は息もつかせぬ迫力で、一気呵成に読ませる。謎が謎を呼び、もつれた糸がほどけていく快感は、宮部ミステリの真骨頂だ。が、話が進むにつれて、最初に提示された謎の扱いが軽くなっていく。もう一つの謎が主題になるせいだ。そちらも十分にショッキングで異様なのだが、説明不足で消化不良ではある。言われなくても、元凶がどこの奴かはわかるけど。

成孝の行動が誤解に基づくという展開には、意表を突かれた。ユニークな人物だが、後半は作者に忘れられ、二重の意味でかわいそうなキャラだった。
重興乱心の謎解きは、途中まで感心して読んでいたが、後半で失速する。悪者を特定したことで、嘘くさくなってしまった。あまりにも不自然だ。犯人のような人物は、邪魔ならさっさと殺すのでは。「生かしたまま呪ってやる」なんて、恨みがましい素人の発想だろう。納得できない。
いちおう良い結末は迎えるのだが、愛は万能とばかりにドガチャガと片づけてしまった感じである。★★★
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