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2017年10月03日21:23

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『スロー・バード』/ヤボ帰国

つまらない用事のため、明後日帰国することになった。ほんの三日間ほど。
あーー、めんどくさっ。せっかくだから余剰物の搬送と必要物品の持ち帰りに利用する。事後物販のiXimaはっぴは届いてるかな?もし手にできたらKLのミクスポでさっそく使えるのだが。

・スローバード(90)作:イアン・ワトスン
70年代から80年代にかけて書かれた短編を、日本で独自に編集した短編集だ。90年というのは日本での発行年である。私が持っているのは07年発行の新装版だ。大森望の興奮気味の紹介文が微笑ましい。それだけの価値はある。驚くべき傑作ぞろいだった。

作者は、日本滞在時のカルチャー・ショックが原因でSFを書き始めたイギリス人だ。ゼロ年代以降なら珍しくない話だが、60年代の終わりというのだから変わっている。『銀座の恋の物語』は日本の会社員と水商売がテーマの異文化SFだ。とても英国SFとは思えないタイトルがステキだ。変な話である。
『絶壁に暮らす人々』切り立った岸壁を横移動しながら暮らす人たちがいる。上も下も見えない。閉塞感あふれる余裕のない生活は、現代社会のメタファーなのか。
『大西洋横断大遠泳』タイトル通りのサバイバルゲームをレポートする。各国代表がいかにもというか、俗っぽいステロタイプを戯画化したような活躍を見せてくれる。

『ぽんと開けよう、カロピー!』夢の中に存在しない奇妙な商品のCMが繰り返し現れる。異世界からの宣伝なのだろうか。小市民の反応が愉快な奇想SFだ。
『アイダホがダイヴしたとき』『2080年世界SF大会レポート』
どちらも世界が核戦争で滅びたあとの世界が舞台だ。前者は砂漠に横たわる鉄の筒で暮らす人々の話。毒のある風刺が効いている。後者は機械文明が消滅した後も続くSF大会を描く。参加者はカヌーか乗馬か徒歩で会場に集まってくる。作品は粘土板に彫るか、口承で伝えるしかない。それでもSFファンは夢いっぱいだ。なぜなら、もう現実の科学に気を使わなくていいから。「今こそ俺たちの時代だ!」はあ、立派なものですね。

『ジョーンの世界』14歳の誕生日プレゼントは地球だった。
最も文芸的で抒情的な一篇である。
表題作は、低速で飛びながら行く手にある物をすべて破壊する鳥の話だ。穏やかで奇妙な味わいの破滅小説である。読後に深い余韻を残す。いちばん好きかも。

14編のうち、外れはほとんどない。選りすぐりの傑作集だ。★★★★★
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