mixiユーザー(id:2615005)

2017年04月10日22:56

251 view

ターザン『呪われた密林』『黄金都市』

ハヤカワ文庫ターザンシリーズのつづき。

・ターザンと呪われた密林(32)
第16作。イギリスの令嬢バーバラは、軽飛行機の燃料切れでアフリカ奥地に不時着してしまった。そこは数千年前に欧州から追われて定着したユダヤ人の部落だった。男は鼻がでかく醜悪で、女は美人だ。またこのパターンか。近親婚を繰り返してきたため、住民は癲癇持ちが多い。この持病が主人公サイドに有利に働く。戦闘中に発作を起こす悪役も珍しい。
いっぽう地質学者のスミスとギャング上がりのダニイは妙なところからウマが合い、調査旅行に旅立つ。ソ連の殺し屋レオン・スタブッチは盗賊団の首領でイタリア人のドミニク・カピエトロに出会い、ターザンの命を狙う。
翻訳が高木豊から長谷川甲二に交代した。冒頭、黒人の酋長がターザンに白人盗賊団の討伐を依頼するシーンで、懐かしい日本語訳特有の黒人東北弁が見られる。「〜してくだせえ」「〜ですだ」てやつね。ほかの翻訳家はこの時代、すでに使ってなかったのだが。センスの古い人だったのか。イラストは加藤直之だ。調べてみると全21冊中3冊は加藤だ。この際ぜんぶ読むけどね。

バーバラは呪われた村で美少女ジゼベルと知り合う。美女二人とロシア・イタリア連合の悪党組と学者・ギャングの凸凹アメリカ人コンビが、運命に翻弄されて逃走・追跡・戦闘を展開する。ターザンは危地を救うために現れるが、はっきり言っていなくても話は成立する。ではつまらないかと言うと、とんでもない。初期作品のようなスリルに富んだ冒険譚が繰り広げられる。キャラの豊富さが面白さに厚みを増している。特にガラの悪いダニイのキャラが愉快だ。古代美女ジゼベルとのかみ合わない会話が笑える。
冒険の最中に、一行はもう一つのユダヤ人集落を訪れる。そこは同一の先祖を持つが、美形で健康な人が揃っている。なぜなら不細工と病気持ちは、子供の間に殺してしまうから。優生思想はバロウズの考えというより、当時の一般常識だったんだろう。人道的に論外でもあるし、実践して成功したことは一度もないんだけどね。ターザンものというより、ふつうに冒険小説として評価したい。★★★★

・ターザンと黄金都市(32)
第17作。人跡未踏の奥地に、象牙都市と黄金都市が存在する。黄金都市は悪魔のような美女ネモーネが支配していた。
ネモーネに謁見したターザンは、「炎の神官ラーに匹敵する美女だ」と考える。幽閉されて死を覚悟した時に脳裏をよぎるのは、育ての母・類人猿のカラの面影だ。ちょっと待て、ジェインは?というか家族は?中期以降のターザンには、あれほど愛したジェインとジャックが登場しなくなる。単独で読むと、ターザンが既婚者と思えない。まあヒーローはそれでいいのか。

ライオンを飼いならし、狩猟や戦闘はもちろん女王の車を引かせるという習慣はユニークだが、無理がありすぎる。どう考えても肉食獣は家畜にできないだろう。スピーディな展開のおかげでまずまず面白く読める。が、ライバルの象牙都市は出てこないし、黄金都市の王子も存在が語られるだけで活躍しない。ターザンの飼い獅子ジャド・バル・ジャが唐突に登場して話を終わらせる。あまりにも投げやりな結末だ。途中までのストーリーは悪くない。★★★
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年04月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30