mixiユーザー(id:2615005)

2016年10月28日22:06

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『緑の少女』

エイミー・トムスンの作品は『ヴァーチャル・ガール』を読んだことがある。数あるアンドロイドSFの中でもトップクラスの出来栄えだった。本作が二冊目だ。邦訳があるのは、この二作だけらしい。解説によると、作者はビッグネーム・ファンとして有名らしい。SF大会ではファット・フェミニズムという企画を主催するとか。肥満女性の権利主張だ。「SFファンはなぜ肥っているのか」という尖鋭的な話題も扱うらしい。暑苦しくて痛そうだなあ。もし参加していても、たぶん行かないな。せっかくの祝祭に現実を直視しなくてもいいよ(笑)。
プロフィールを先に知らなくてよかった。読む気を失っていたかもしれない。作品にはフェミニズム的主張は、ほとんどない。

・緑の少女(95)
異星に不時着したジュナは、原住民テンドゥに救われる。命をかけて瀕死のジュナの肉体を改造してくれたのだ。異星人そっくりの姿となったジュナは、彼らと共に生きる決意を固める。

テンドゥは樹上生活をする両生類である。出産は卵で、たくさんのおたまじゃくしが孵化する。彼らの生活史と社会構造は、人類とはまったく異質で非常に興味深い。読み進むうちに意外な事実が次々と明らかになっていく。具体的は読んでのお楽しみということで、書きません。
発声ではなく、皮膚の色を変えることで意思を通じ合う「皮膚言語」も斬新なアイデアだ。
物質的には素朴な狩猟採集民だが、精神をリンクさせることで高度な文化体系を保持している。こういう設定だと、汚れた文明人と純情な現地人という陳腐な展開になりがちだが、本作はちがう。テンドゥにそれほど悪辣な人物はいないようだが、欲張りや意地悪は普通に存在する。公平で自然なところがいい。
テンドゥ側の登場人物はみんな魅力的だ。特にジュナの発見者アニが生き生きとしている。波乱が少ないので、中盤でやや読み疲れるのが唯一の難点か。異星の異種族を描いた作品の中では、きわめて秀逸な一作である。★★★★
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