
「やっほーー」 「まってーー」
見慣れたショットでも、肌が褐色になると新鮮だなあ。東南アジア風ミクさん。
海外SFが切れたので、買ったまま放置しておいた大物に取り掛かることにした。
小川一水の『天冥の標』である。全10巻で、現在9巻まで出ている。1巻が二冊か三冊にまたがることもあるので、実質は15冊くらいある。たぶん最終巻に近づくとボリュームが増えるので、20冊以上にはなるだろう。�気鉢兇呂匹舛蕕�ら読んでもいいという話を聞いて、とっつきやすい�兇�ら読み始めた。
・天冥の標�供ゝ濱し押�2010)
普通なら長大なシリーズに手を出すのはためらうのだが、小川一水では仕方がない。この人の作は長ければ長いほど面白くなるし。『第六大陸』は傑作だったが、『復活の地』はさらに素晴らしかった。
現代日本から話が始まる。感染症専門医の児玉は、医者仲間の華奈子から緊急連絡を受ける。パラオ諸島のひとつで正体不明の疫病が流行しているというのだ。さっそく現地に飛んだ児玉たちが目にしたのは、想像を絶する地獄だった。高い致死率を持つ新疾患は世界各地に広がっていく。
バンデミック小説である。あまり類似の作品は読んでいないが、本作はこのジャンルの中でもかなりの力作だろう。小川作品の常だが、登場人物が実に生き生きとしている。主役の医師たちは高い能力と倫理観を持つ魅力的な人物だが、人間的な弱さや生臭さも持っている。二人だけでなく、天才電脳少年もネタバレになるから書けないあの人物もこの人物も、みんないい。
壮大なシュミレーションが迫力のある筆致で描かれ、現実のニュースに接するような迫力である。傑作SF小説は細部のリアルさが全体の虚構を支えるものだが、本作はその好例だ。人間関係の機微に心温まり、社会の持つ残忍さに天を仰ぎたくなる。
本作は宇宙叙事詩という外枠の一部だ。だが単独の医療+闘病フィクションとしても超一級品である。何度も書いたけど、もう一度大きな声で言わせてもらおう。
「小川一水に外れなし!」★★★★★
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