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2015年12月11日17:52

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不条理漫画家としての福本伸行

福本伸行は、もはやギャンブル漫画家などという枠をはるかに超えている。従来のギャンブル漫画とは、限られた種目(麻雀とかパチンコ)をトリビア的に分析し、主人公がいかに勝つかという点が最大の見どころになる。作品の魅力を、読者の特定競技に対する興味に頼っている。

冷たい表現をすると、「好きな人はジャンルの特殊性だけで嬉しいし、興味のない人は読んでくれない」のが普通だ。ある意味スポーツ漫画に似た閉じた世界だった。面白さの次元を押し上げて密室サスペンスあるいは頭脳バトルという新境地を開拓したのは、福本伸行の業績だ。

福本作品の価値はシナリオ(ストーリー)の面白さにあるが、アクの強い絵柄による演出力も重要な要素である。演出のポイントはギャグと不条理だろうか。ギャグは『最強伝説黒沢』で絶賛爆発中だ。『アカギ』の鷲津地獄めぐり篇で名をはせた不条理展開もまた、欠かせない要素だ。

で、最近作の中でぶっとんだのがこれだ。
・賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編9巻
わずか2枚のカードで戦う「ワン・ポーカー」がこんなにスリリングな勝負になるとは。
引き伸ばしと言えなくもないが、「十七歩」の無意味な水増し感と違って、しっかり緊迫感を維持している。この巻の眼目は、なんといってもヒゲのおじさんたちだ。
「邪魔でなく」「邪魔でない」「いやいやそうでなく」「そうでなく」「わしも」「わしも」

ああ、ウザい。ルイス・キャロルも顔負けの不条理さ。福本漫画はどこまでエスカレートするんだろう。★★★★★
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