紙にハートを書いてみた。
――赤鉛筆でだ。じっと顔近づけ、上部に均等なる二つの膨らみ、それに対して下部に、きっちり三角形とは言いきれぬ尖り、を認め、長息し、天井を仰ぎ見る。
「難しいことだ」
この図形、誰しもが知るこの図形――果たして、その面積を正確に導き出す数式というものは存在しているのだろうか?
「解らない」
シンプルにして難解なのだこのハートってやつは。であるからして結論――
【彼女のキモチを知るすべ、あろうはずがない】
仕方なく僕は――
落書きのハートを折りたたんで、彼女に手渡すことにした。
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