
華やかなアラビックで。アンニュイな表情と生々しい露出ワキがたまりません。
・金星の魔法使(64)
金星シリーズ最終巻と言いたいが、正確には違う。本書は創元版の金星五冊目だが、金星は100ページほどの中編で、他は別の話が収録されている。本国では金星シリーズは全四巻とされているのだ。作者の死後発見された原稿と雑誌掲載の短編を集めた本なので、書かれたのは30〜40年代だろう。
表題作は、カースン・ネーピアが作者自身も忘れていた(たぶん)テレパシー能力で、魔法使い気取りの催眠術師を打ち破る。これが最後の金星ものだが、全然完結編らしくない。連作中編集の冒頭だったのだろう。
『五万年前の男』バローズ唯一の短編と言われる。40ページ足らずで、純粋に独立した話だ。内容はいかにもという感じだが、ちゃんと短編らしいオチがついている。
『さい果ての星の彼方に』
惑星ポロダに、二次大戦で戦死したアメリカ人パイロットがやってくる。その国では百年も戦争が続いていた。もちろん主人公は参加する。空中戦とスパイ戦が主体で、他のシリーズのような明るい男らしさは感じられない。戦火によって悲惨な境遇に堕ちた人々にスポットが当たる。戦争の犠牲者という概念は有名シリーズにはまったく出てこなかったので、ちょっと驚いた。やはり残酷さがアップした二次大戦が、作者の心境に変化を与えたのだろうか。
ボロダは11個の惑星が同心円状に周回する特異な太陽系に属している。例によってディテールに凝るバローズ先生は、この世界のアルファベットや数字まで考案している。架空宇宙におけるシリーズを意図していたのだろう。隣の惑星トノスへ旅立つところで終わっている。この本格スペースオペラは読みたかったな。★★★
ログインしてコメントを確認・投稿する