藤山扇治郎が勢いよく舞台に飛び出してきたときの客席からの反応つまり拍手の大きさは、残念ながらこちらが想像していたほどではなかった。う〜ん、彼にたいする認知度はまだまだなんでしょうか。まちがいなく未来の松竹新喜劇を背負って立つべき存在。今回の錦秋公演、二本立ての一本目「朗らかな嘘」では完全に主役。
〜無鉄砲でおっちょこちょい、でもどこか憎めなくて無意識のうちにいつのまにか周りを幸せにしてしまう〜かっては偉大な祖父が幾度となく演じていたキャラをそのまま踏襲するような役柄。弱冠27歳まだまだ力まかせのその演技、祖父の域には何十年かかっても到達しないかもしれないけど、やっぱり彼を応援したくなってきます。
いっぽう二本目新喜劇十八番の名作「愚兄愚弟」のなかほどで、チョイ役ながら小島慶四郎が顔を出したときの場内の雰囲気は、はたしてセリフ回しがうまくいくのかとやや不安な気持ちも含みつつ、この新喜劇レジェンド82歳を温かく見守るような空気にあふれていました。でもそのリスペクトする眼差しは、客席以上にそのとき舞台にいた他の役者たちに強く感じたのでした。
もちろん渋谷天外・高田次郎・曾我廼家八十吉といった重鎮たちの安定感はハンパないもの。過去も未来もなし、常に不変の存在であるかのような松竹新喜劇ですが、少しずつながら世代交代も進んでいます(まあ40代が若手といわれるような世界であることはたしかですが)。二本とも現代劇だったせいもありますが、セリフのなかにfacebookやJKやアナ雪も登場していましたし。
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