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2014年05月26日20:45

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ミク書評/ラッセルとハインライン

昨日(5月25日)朝日新聞の朝刊に、ミク本の書評が載ってました。ニュースが遅くて申し訳ない。日本から取り寄せているので、一日遅れなのだ。
取り上げられたのは『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』。この本は持ってるのにまだ読んでいない。書評は単なる紹介で、大した文章ではない。ちょっと気になるのは、結末の部分。以下引用。
<むろん、賛否はあることだろう。だが、ミクが「愛の夏」のヒロインであるのかどうかは、実はどうでもいいことなのかもしれない。問題は、世界が本当に変わったのか、いや、変わるのかどうか、であるのだから。>

どうでもよくねえよ。「ミクこそが音楽シーンを変えた」というのがこの本の主旨だろう。ならばヒロインに決まってるではないか。それを否定するなら、本書を否定することになる。最後の一文は意味不明。これで気の利いたオチをつけたつもりか。句読点の使い方もおかしいし、駄文もいいとこだ。
評者は早稲田大学教授の佐々木敦という人だ。早稲田の教授て、この程度で勤まるのか。もっとましな文章が書ける素人が、知り合いに少なくとも三人はいるぞ。

創元文庫復刊フェアの続き。
・わたしは“無” 作:エリック・フランク・ラッセル
65年に出た本で、41年から53年にかけて書かれた6本の短編が収録されている。
『どこかで声が・・・』異星のジャングルに不時着した救命艇に乗り合わせた八人の男女は、はるか彼方の基地を目指して歩き続ける。苛酷な自然のため、一人また一人と犠牲者が出る。生き残った男にささやく「声」とは?
『ディア・デビル』火星の詩人が、絶滅に瀕した地球人を救おうとする。
この二編は、ヒューマニズムあふれる感動作である。目頭が熱くなった。この感動はSFでなくても作りだせるのでは?という気もする。SFの衣をかぶった普通小説かもしれない。が、とにかく夢中になって読めた。大切なのは、そこだ。

表題作も人間愛を描いた作品だが、いささか甘すぎる。掌編『場違いな存在』は、風刺の効いたオチに感心した。満足度の高い一冊でした。★★★★

・ダブル・スター 作:ロバート・アンソン・ハインライン
巨匠56年度の作品だ。失業中の俳優ロレンゾは、酒場でスカウトされた。その仕事とは、なんと太陽系帝国首相ボンフォートの「代役」だった。
いやあ、これは凄い。未來史シリーズに見事な経済SFが出てきて感心したことがあるが、本作はいわば政治SFだ。政治のリアルをSFで描くなんて、他の誰にできるというのか。ミスターSFの名は、伊達ではない。
ボンフォートが属する「拡大党」は、人類の銀河進出を訴える。火星人や金星人に地球人と同等の権利を認めよというリベラルな政党でもある。敵対する「人類党」は、地球と地球人を貴ぶ保守派だ。SFファンなら誰しも拡大党に投票したくなるだろう。
青二才が重要人物の替え玉になるというのは、伝統的な娯楽作品のパターンである。本作は王道を踏まえつつ斬新なアイデアを投入し、見事なSF作品になっている。象徴としての皇帝の描写は見事だ。貴族は皇帝の前で膝まづくが、爵位の無い平民は立ったままでいい。なぜなら、平民は主権を分け合うという意味で、皇帝と同格だから。なんと見事な解釈であることか。意味も分からず封建制度を描いている三文作家は、本書で主権の意味を学習すべきだ。

ロレンゾの火星人嫌いが催眠術で処理されるのは、残念。自発的に偏見が除かれる展開なら、もっと良かったのだが。洗脳を「共産主義者が使う汚い手口」と決めつけるのは、この時代なら当然か。本当はCIAだってやってたけどね。
不満は上記二点くらいで、ひたすらストーリーテリングの力量に圧倒された。
完成度といいビジョンの高さと言い、巨匠ハインラインの作品群の中でも際立っている。知名度は低いが、「夏への扉」や「人形使い」より重要なのではないか。★★★★★
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