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2026年04月05日09:23

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新東宝『下郎の首』

新東宝映画のレビューを。
『下郎の首』(55)監督:伊藤大輔
時代劇なのに、いきなり鉄橋を臨む河川敷と通学中の女学生が映る。路傍に佇むお地蔵さんのナレーションで物語が始まる。「百年前にここで事件があった」。斬新さに目を見張る。
若侍・結城新三郎(片山明彦)は浪人に父を殺された。下郎の訥平(田崎潤)と共に仇討に出かけるが、身体を壊して乞食小屋で臥せっている。訥平は大道芸で暮らしを支えている。物乞いたちの群像が生々しい。訥平と組む女芸人は、盲目の娘と鼻の欠けた女(たぶん女郎上り)だ。両手に履き物を持って移動する「いざり」が強烈だ。今は絶対に出せないキャラクターである。
訥平は親切な女(嵯峨三智子)に借りた傘を返しに行ったところ、仇の磯貝に出くわす。女は磯貝の妾だったのだ。間男と誤解した磯貝は抜刀して切りかかり、訥平は弾みで殺してしまう。不本意ながら一応「本懐を遂げた」ことになる。

だが磯貝の門弟たちが仇を討とうと動き出す。下郎の命を差し出せと言われた新三郎は苦悩するが。ハッピーエンドなど有り得ない展開だが、想像を超える嫌な結末を迎える。
とことんリアルにこだわった作品は状況映画と呼ばれるそうだ。イタリア映画の「自転車泥棒」が元祖とか。善人の不幸を時代劇に落としこんだ力量には感服するほかない。前半のコミカルな場面で丹波哲郎が渋い演技を見せてくれる。
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