30代から40代の高峰秀子の代表作をかなり見た。20代の頃の作品が見たくなった。この時期はほとんど新東宝だ。
『虹を抱く処女』(1948) 監督:佐伯清
看護婦あき子(高峰秀子)は、結核で自宅療養中の音楽家・日高(上原謙)を献身的に看護する。職業上の使命感か愛情ゆえか、自分でもわからない。ある日、戦地で看護した三津田(若原雅夫)があき子に求婚してきた。
24歳のデコちゃんが清純きわまりない役を演じる。まさに白衣の天使である。ナース好きならたまらないだろう。私はあいにく医者やってたので、そういう趣味は持てない。綺麗だけどね。喀血しながら狂おしくピアノを弾く上原の演技が鬼気迫る迫力だ。捻りの無いストーリーだけど、若き高峰秀子が見れて嬉しい。
★★★
『春の戯れ』(1949) 監督:山本嘉次郎
明治時代の品川。居酒屋の倅・正吉(宇野重吉)は、横浜に来航したノルマンジャ号を見て外国への憧れが押さえきれない。客として現れた水夫長(江川宇礼夫、一の谷博士!)に誘われ、船乗りになる決意を固める。だがそれは、幼馴染みのお花(高峰秀子)との別れを意味していた。折しもお花は、金持ちの老人から後妻にと望まれていた。
高峰秀子が元気な居酒屋の看板娘を演じる。とても可愛らしい。「虹を抱く処女」と同様に二人の男に愛される役だが、本作のほうがずっとプロットが複雑で、話がどこへ落ち着くのか予想できない。画面に明治という新旧入り交じった活気ある時代の気分がよく出ている。狂人の角付け芸人が印象深い。近代の中に封建時代が見え隠れする時代だったのだ。
娘のように若い後妻を求める老人なんて、脂ぎった糞親父のイメージしか浮かばないが、案に相違して寛大な人格者である。この人物造形が本作を見ごたえのある力作にしている。デコちゃんの自薦13編の1つだ。★★★★
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