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2024年05月06日19:03

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『楢山節考』(58)

『楢山節考』(58) 監督:木下恵介
深沢七郎の原作は読んでいるし、80年代のリメイク版は劇場で見た。傑作の呼び声が高い元祖を見ることにした。
七十歳の老婆りん(田中絹代)が「山へ行く」話だ。白い飯を食べているので、「そんなに貧しくもないじゃん」と思ったら、年に一度の祭りのご馳走らしい。
りんが歯の丈夫さを恥じて自分で折るシーンはゾッとする。大袈裟なスプラッターよりずっと怖い。隣家の又やん(宮口精二)は山行きを嫌がって、飯を乞う。浅ましい?いや人間ならこれが普通だろう。

舞台劇のようなセットに和楽器の演奏が鳴り響く。背景の書き割りは一目で絵だとわかる。リアルを廃してあえて人工的に演出する。暗い親子愛の物語にふさわしい。実体化した寓話のような画面に引き込まれた。
雪が降るのを見て「良かっただな」と孝行息子が叫ぶ。ゆっくり餓死するより凍死のほうが楽だからだ。何と痛ましい親孝行か。貧しさは罪だ。良作である。
本作は伝説に基づいた創作だが、口減らしの姨捨は普遍的に行われていたのではないか。「記録がない」と言う人がいるが、不名誉な事実は記録しないほうが普通だろう。★★★★
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