『ぶらりぶらぶら物語』(62) 監督:松山善三
監督は高峰秀子の夫だ。
日本全国を放浪する純平(小林桂樹)は、へそくりの八万円を詐欺師の駒子(高峰秀子)に盗まれる。「東京で会いましょう。お金はその時に返す」と置き手紙が。北九州から東京まで西日本横断の旅が始まった。しかも途中で捨てられた兄妹を拾う。兄は「青影」の名子役・金子吉延だ。
純平は残飯漁りや物乞いで暮らすホームレスだが、犯罪はしない。惨めさは無く、自由人の気ままさが心地好い。現実はこんなに甘くないが、一種の夢物語として楽しい仕上がりである。実際に西日本各地にロケしていて、自然や町並みが美しい。純平は元戦災孤児で、幼少記のダメージから抜けきれず現在の生活になった。
駒子は原爆被害者を助けると称して、安物の鉛筆を高く売る商売をしている。ちゃっかり屋だけど平和を希求するのは嘘ではなく、反戦デモに参加する。
戦後間もない頃だけに二人とも重い背景を背負っているが、道中は軽く明るいロードムービーとなっている。
重苦しい「女の一生」ものばかり見ていたので、久々に息抜きできた。やっぱり名画や文芸作より娯楽作がいいなあ。本作も社会的テーマは内包しているが、ジャンルはお笑い旅映画だ。
★★★★
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