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2023年08月02日23:11

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武田泰純を読む

・淫女と豪傑(1947-1956) 作:武田泰純
「ひかりごけ」の作者だ。中国小説の大家ということを知って読むことにした。日本人の書いた中国物が大好きなので。期待以上の大当たりだった。9篇のほとんどが好みド真ん中だ。古代から近代まで題材が多彩で、飽きない。
「女賊の哲学」安家の第二夫人は、もと女賊だった。町が盗賊の集団に囲まれたとき、彼女が取った行動は。映画『キルビル』に数十年先行した女傑の物語だ。男尊女卑の封建時代が背景なのでいっそう痛快だ。

「人間以外の女」切ない異種婚姻譚である。蛇女が夫に尽くす。蛇という動物は何となくエロティックで女性的だ。「うつし絵」満州国の傀儡皇帝・溥儀を中国人夫婦が述懐する。悲劇的ではあるが、歴史の妙味が感じられる人物だ。
「獣の紀章」キの字が違うが、見つからない。戦後、上海で羽振りの良かった日本人は戦犯訴追に怯えて暮らしている。もっと救われないのは、戦時中日本に協力していた中国人だ。やむを得ない生活の手段が、戦後は民族への裏切りとなった。歴史の残酷さが身に凍みる。

「女帝遺書」漢の呂公の回想記だ。一人称で語られると、暴君の行動にも一理あるように思えてくる。
「興安嶺の支配者」本書の白眉である。昭和18年、ヤクート族が支配する山岳地帯に日本人調査団が赴く。生真面目な学者、現地人を妻に持つ通訳、そして秘密の任務を帯びた憲兵。三人の思惑が交錯し、過酷な自然が襲いかかる。キナ臭い時代のドラマは独特の面白さがある。実際には絶対に生まれたくない時代だが。
「烈女」は男社会の決めつけと戦い続けた娼婦の一代記。波瀾万丈もいいとこだ。
表題作は水滸伝と金瓶梅を比較した論考だ。中国古典好きとして興味深い内容だった。★★★★★
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