今日は雑用で忙しくなるので、もう一本読書日記を書こう。
ヴォークトのみ創元推理文庫、アンダースンとローマーは早川文庫白背だ。
・目的地アルファ・ケンタウリ(65)作:ヴァン・ヴォークト
宇宙の歪みのため、地球が滅びてしまう。「人類の希望号」は他の恒星系に新天地を求めて飛び立った。ところが予定より遅いスピードしか出ないため、船内時間で数百年が経ってしまう。代を重ねるにつれて、船内では社会的矛盾が深刻化する。普通は宇宙船の中では地球より時間が遅くなるものだが、なぜか逆になっている。
タイトルから想像される未知の世界への冒険譚は、ほんの付け足しだ。物語の大半は閉じた世界における陰謀と争いに費やされる。「ビーグル号」も、ユニークな怪物たちに劣らず科学者たちの内紛劇が印象に残ってしまったが、本書はもっとひどい。心理戦や政治力学を踏まえた戦いは、それなりにスリリングではあるのだが。何も宇宙SFでこんな話をやらんでも。ヴォークトって、やっぱりどこか変だな。
予断を許さないプロットの面白さは評価できる。★★★
・銀河よ永遠なれ(56)作:ポール・アンダースン
アンダースンは当たり外れの差が激しい。「タウ・ゼロ」「大魔王作戦」のような傑作も書くが、首をひねりたくなるような駄作も多い。本書は外れのほうだ。
ノーマッドは惑星に定住せず、宇宙を旅する集団だ。仲間の船が行方不明になった宙域へ出かけたノーマッドは、自然と協調して暮らすアロリ人に出会う。
アロリ人はネイティブ・アメリカンをモデルにしたのだろう。科学や道具を否定しているくせに、なぜか宇宙航行ができたり、惑星の先住民を絶滅させたりしている。どういう連中なんだ。さっぱりわからん。アンダースンの保守主義が鼻につく。結末にも納得いかない。全然つまらないということはないが、長所がほとんどない。★★
・銀河のさすらいびと(69)作:キース・ローマー
失業して凍死しかかっていたビリイ・デンジャーは、異星人の船に拾われ、奴隷として仕えることになった。が、三人の異星人のうち二人は事故で死亡し、ビリイは残された姫君を守る決意を固めた。
すがすがしいほどの直球娯楽作である。危地を脱してつかの間の安息が訪れたかと思うと、姫がさらわれる。行方を求めて銀河を駆け巡り、冒険また冒険の日々が始まった。
怪物あり、不気味な異星人あり、陰謀を巡らす悪党あり、ついでに巨大な猫と友達になる。成り上がったかと思うと奴隷に落とされたり、まるで読む絶叫マシンである。
バロウズ作品の醍醐味はそのままに、洗練して過剰な男くささを消した感じだ。
主人公がまっすぐでひた向きなところに好感が持てる。誠実さが信頼を勝ち取るというポジティヴな展開が気持ちいい。脇役の異星人スラットやフシャ=フシャも魅力的だ。
結末の気持ちの良さは特筆ものだ。いいものを読ませてもらった。
作者の本をもっと読みたくなった。★★★★★
ログインしてコメントを確認・投稿する