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2017年07月20日22:27

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鉄腕アトムの先輩か?『ロボット市民』

アメリカのロボットSFといえば、だれもが思い出すのはアイザック・アシモフの作品だろう。作中でロボットをメインテーマにしたのはアシモフが最初ではないのだが、質と量を備えた大系を完成させたのは、アシモフの手柄だ。
日本での第一人者は、いかなる小説家よりも、手塚治虫の名を挙げるべきだろう。「鉄腕アトム」一作が、日本人のロボット観を作ったといっても過言ではない。ところでアトムの物語は、あまりアシモフのロボット短編に似ていない。アトムは少年漫画らしいアクションが山盛りなのは当然として、ロマンティックで時にセンチメンタルで抒情的な物語だ。アシモフ作品はあくまでも論理的で風刺的であり、大人の読み物だ。
アメリカにはアトムのような人間の友達としてのロボットはいないと思っていた。間違いだった。ちゃんといました。

・ロボット市民(65)作:イアンド・バインダー
タイトルに惹かれて買った。大当たりだった。
本になったのは1965年だが、39年から「アメージング・ストーリーズ」に連載されて大好評だったらしい。作者の名はすっかり忘れられているが、ほかにスーパーヒーローもののシリーズも書いていて、当時の人気作家だったらしい。

アダム・リンクは意思を持つロボットだ。発明者のチャールズ・リンク博士の教育のおかげでだんだん人間らしく成長する過程が微笑ましい。が、アダムは博士の殺人容疑で逮捕されてしまう。実態は事故死で、アダムは助けようとしただけなのだが。人間に対して善意しか持っていないアダムに対して、世間の目は冷たく偏見に満ちている。このあたりのドラマは、「鉄腕アトム」の手塚ヒューマニズムを思わせる。博士の甥で弁護士のトムや新聞記者のジャックの活躍で、アダムは無罪を勝ち取る。

怪力と頑丈な鉄の肉体で幾度も人命救助を行ったアダムは人気者になるが、市民として人間の仲間入りするには、見えない壁が立ちふさがっていた。アダムが自分の伴侶イブを組み立てたり、ギャング団に利用されそうになったり、変化に富んだプロットに夢中になった。手に汗握る緊張感が持続する。古めかしくはあるが、陳腐ではない。
圧巻はアメリカ軍に勧誘されるシーンだ。「市民になりたいなら、徴兵は義務だ」という軍上層部に対して、アダムは「ぼくはアメリカに忠誠心を持っていますが、人類全体により強い忠誠心をもっています」と断る。胸のすくセリフだなあ。
が、侵略してくる外星人に対して、結局アダムは鉄腕を振るうことになる。対エイリアン編は戦闘の迫力もさることながら、敵との駆け引きにうならされる。
エピローグには涙が出そうになった。人ならざる者の夢と苦悩を描いた、知られざる傑作である。★★★★★
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