「カジムヌガタイ」(漫画)作:比嘉ススム
ススムの漢字が出てこない。親本は2003年講談社から。本書は2026年ちくま文庫。ちくまは時々こう言う尖った企画をやるので、見逃せない。沖縄出身の漫画家が証言を元に描いた沖縄戦の短編集である。6篇収録にエッセイつき。
沖縄戦と言えば忘れてはならないのが、日本兵による地元民の虐殺だ。すべての作品に日本兵が登場する。鬼畜エピソードが多い。
「フシムヌガタイ」(星が語る)住民を防空壕から追い出して殺した男が捕虜になり、見習い看護師をしている遺族の少女と再開する。男は卑怯にも偽名を使って逃れようとする。投降者名簿には、「徳川家康」「聖徳太子」などの名が並ぶ。もちろん嘘だ。哀れで図々しい。
「トゥイムヌガタイ」(鳥が語る)中国大陸で発狂した二等兵は故郷の沖縄に帰されていた。沖縄が戦場になった時、その廃人は本性を現して日本兵に襲いかかる。
地元人にとってはアメリカより日本軍こそが敵だったのだ。軍というものの性質がよくわかる。それでも住民の側に立つ良心的な兵士も描かれている。表題作「カジムヌガタイ」(風が語る)は、終戦直後の話だ。強姦を繰り返す三人の米兵を相手に、もと将校は被害者家族を組織して戦争を開始する。珍しく痛快な後味だ。
「イシムヌガタイ」(石が語る)日本刀vsサイの武闘がクライマックスである。人殺し野郎の敗戦後の言い訳が有りがちで見苦しい。
ヘビー級の読み応えだった。リアルに程遠いヘタウマな絵柄だが、本作には良くマッチしている。





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