『カルメン純情す』(52) 監督:木下恵介
「カルメン故郷に帰る」の続編である。
浅草に戻ったカルメンは、仲間の朱美が男に騙されて産んだ赤ちゃんの世話を手伝う。疲労が限界に達した二人は、豪邸の前に捨てようとするが、息子のハジメ(若原雅夫)に見つかってしまう。ハジメは彫刻家だ。芸術コンプレックスの強いカルメンは一目惚れし、ヌードモデルになる約束をした。が、恋を知った彼女は脱げない。舞台でも脱げなくなってしまい、クビになる。
彼女の純情ぶりに比べてハジメはとんだ喰わせもので、隠し子のいる恋人と金持ちの娘の二股をかけている。ドタバタ混じりのコメディだが、ラブコメと呼ぶには生臭く社会風刺が強めだ。風刺艶笑喜劇といったところか。カルメンと朱美がヨイトマケをして働く。知ってますかヨイトマケ。女性の肉体労働だ。他に宣伝のアルバイトで、ネズミやインク瓶の着ぐるみを着る。高峰秀子のコスプレが楽しい。
ハジメの母は代議士で再軍備派だ。女性の味方と自称しながらカルメンを見下して、「身分が違う、息子と別れろ」と怒鳴る。別に付き合ってもいないのだが。ハジメは二股に忙しく、カルメンは眼中にない。その気になった彼女は「彼の幸福のために身を引きます」と悲劇のヒロインを気取る。ストーリーは変化に富んで面白いし、カルメンの純粋さに好感が持てる。でも主人公が空回りしてるのは可哀想すぎる。
最後は「カルメン何処へ行く」という字幕が出て唐突に終わる。三部作の予定だったそうだ。次作への引きだったのかな。
★★★★
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