高峰秀子主演作の続き。
『浦島太郎の後裔』(1946) 監督:成瀬巳喜男
終戦直後に作られた政治系風刺劇だ。珍作としか言いようがない。言論統制の重圧から解放された日本人がこういう作品を望んだのかもしれない。
南方から復員した浦島五郎(藤田進)が公園で叫ぶ。理不尽に殺された戦友の犠牲を悼み、日本に真の民主主義を。「あーあーおー」というターザンのようなシャウトは、ちょっと真似したくなる。
婦人記者(高峰秀子)は、国民に声を届けるため国会議事堂のてっぺんで叫んではどうかと提案する。浦島は叫びによって時代の寵児となる。全国に平和と民主の叫びは轟くが、ある政党が浦島を広告塔にしようと動き出した。
純粋な理念が政治に取り込まれ、利用される。いつの時代にもあった事態だ。現代でもあり得るところが、笑えない喜劇というべきか。焼け跡の広がる時代に本作を作ったのは素直に凄いと思う。★★★★
『銀座カンカン娘』(1949) 監督:島耕二
秋(高峰秀子)と春(笠置シヅ子)は、引退した落語家(古今亭志ん生)の家に下宿する貧しい学生だ。服が二人で一着しかない筋金入りの貧困だが、貧乏を歌に乗せて笑い飛ばす。底抜けの明るさが嬉しい音楽劇である。
二人はペット吹きの男に誘われ、流しの歌を始める。高峰がヒット曲「銀座カンカン娘」をたっぷり聞かせてくれる。もちろん笠置もブギを披露する。途中から灰田勝彦も仲間に加わる。当代一流の歌手の集合だ。歌うシーンがめったやたらと楽しい。志ん生が「疝気の虫」「替り目」を演じる上に、終幕の挨拶も担当する。
お洒落で豪華な娯楽作だ。見終わった後も幸福な気分が続く。
★★★★★
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