岩下志麻の映画が素晴らしかったので、原作の坂口安吾を読むことにした。残念ながら「桜の森の満開の下」は収録されていない。
・白痴 新潮文庫1948年
作者の探偵小説?はだいぶ前に読んだ。それ以外の作は今回が初めてだ。表題作は濃厚な性描写で当時話題になったらしい。今となってはさほど刺激的ではない。男目線で女を描いた作品はどれも似たような感じ。
女性一人称の短編が二篇収録されていて、これが面白い。「戦争と一人の女」には戦争中のゲス老人が出てくる。空襲の焼死体を嘗めるように見つめ、被害のひどい地域へわざわざ見物tにいく。日本が滅びることを願っているが、自分は助かりたい。戦時中と言えば純情愛国者か反戦思想のため虐待されたインテリばかり描かれるが、そんな類型から外れた人間も大量にいたはずだ。本作のゲスたちは、いかにもいそうだ。
「青鬼の褌を洗う女」は、オメカケ体質と自認する女の生活記である。相撲取りとの同棲が印象に残る。変種の珍気なユーモア小説のような。★★★
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