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2017年11月29日01:41

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清張プレミアム『鴎外の婢』『弱気の蟲』

ジョイポリ&シンフォニー帰国で買った松本清張プレミアムを二冊続けて。

・鴎外の婢(1970)
久しぶりに読む清張の文章は、読みやすくて感激する。二作収録の本だ。

表題作は取っつきにくい。森鴎外にそれほど興味ないし、文語体の引用部分が読みづらいのだ。いくら文豪でも、使っていた女中にまで興味を抱くのは理解しがたい。
が、小倉周辺の古代遺跡に殺人事件が絡む下りになると、がぜん面白くなる。浮世離れした学術の世界が生臭い現実とつながる。本作の死体隠蔽トリックは、発想の大胆さに唖然とする。
『書道教授』銀行員の川上は、若いホステスとの浮気に悩んでいた。金銭の要求に応じられなくなったのだ。そんな折、気晴らしに始めた書道教室に意外な裏があることを知り、利用しようと企む。サスペンス満載の倒叙ミステリの逸品である。
小市民の汲々とした心情や闇のシステムを嗅ぎつける推理が生臭いほどの迫力で描かれる。皮肉な結末も見事だ。偶然が過ぎるような気もするが、犯罪はつまらないことで露見することが多いので、小説としては欠点ではない。★★★★

・弱気の蟲(1968)
本書も二作収録である。
表題作は、ノンキャリアの小官僚が麻雀に溺れて破滅していく。私も弱いくせに麻雀に多大な時間を費やしていた時期があるので、何やら身につまされて痛かった(笑)。
情けない小人物(つまり大多数の平均的現代人)を描かせては、清張の右に出る作家はいないな。男が破滅していく話は作者の十八番だが、原因が純粋にギャンブルのみで女や陰謀が絡まないのは、かなり珍しい。
『二つの声』は、野鳥の声を楽しんで歌を詠むという典雅な趣味が、犯罪に巻き込まれる。偶然録音されてしまった会話から推理を巡らすという趣向はユニークだが、結末がいい加減すぎる。オチを決めずに書き始めたのか。清張の駄作にありがちなパターンだ。
★★★
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