武部本一郎先生のイラスト目当てとは言え、ひでえ小説を読んでしまった。
数年前、団鬼六の「花と蛇」を中心に解説と美麗なイラストを添えたサイトがあった。けっこう楽しませてもらったものだ。オリジナル小説や内外のSM系エンタメの紹介なんかもあって、充実したブログだった。で、その中に「ゴル」の解説があったのだ。そのころは有象無象のバロウズ模倣者のひとりという認識しかなかったので、なぜ主催者がこだわるのかわからなかった。読んで納得した。これは一種のSM小説なのだ。
・反地球シリーズ1 ゴルの巨鳥戦士(66)ジョン・ノーマン
イギリス人講師タール・キャボットは、反地球ゴルに拉致される。そこは巨鳥タルンを駆る戦士たちが跋扈する野蛮な世界だった。
これはひどい。主人公にまったく共感できないし、世界に魅力がない。ストーリーはバロウズの劣化パロディに過ぎない。ゴルでは女は男の所有物に過ぎず、女奴隷は公然と売られている。イギリス人でアメリカに職を得た主人公は、平然とそれを受け入れる。客に「私を買って」と哀願する女奴隷を見て、「文明国で女が生活力のある男を求めるのと同じだ」と感想を述べる。
いや、それは違うだろ。作者の正気を疑いたくなる。フェミニストが読んだら卒倒するぞ。
実はSMは嫌いではない。団鬼六作品は愛読していた。が、この本は不愉快だ。鬼六作品は女を虐待する男は卑劣な悪人と決まっていた。本書では女いじめが社会常識になっている。
マッチョ系剣劇ヒーローは、絶対に奴隷制度なんか容認してはならない。鬼源や川田がヒーローになれるかよ。本書のファンはSM風味がお気に入りらしい。私は濃厚にエロい鬼六作品に親しんできたから、この程度の「女奴隷もの」では低次元の興奮さえ感じない。クズだ。★
・反地球シリーズ2 ゴルの無法者(67)
ふつうシリーズは第一部が最も面白いものだ。一冊目がこれでは、とため息をつきながら読んだ本書は、意外にも1よりましだった。解説過多でもたついた1に比べて、引き締まっている。
女王を拉致する冒険行や銀山からの脱走は、なかなかスリリングである。
それにしても作者は奴隷話になると、異様に熱心に書き込む。女奴隷の種類や座り方の違いなどをねちねちと説明する。そんなディテール、読みたくないわ。★★
まだ一冊のこっている。躊躇すると積ん読・化石化するので、一気に読もう。
ログインしてコメントを確認・投稿する