mixiユーザー(id:2615005)

2016年12月24日23:14

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変なタイトルにつられた『300:1』

神田の古書店でごっそりSFを仕入れたときのこと。欲しかった本だけで荷物はかなり重くなってるし、このくらいにしとくかーーと早川銀背を眺めていた。巻末の広告ページで印象に残っているタイトルが二冊目についた。ピエール・プール『E=MC²』と本書だ。日本語の本なのに、タイトルに仮名も漢字も入ってないなんて、SFしかありえないだろう。プールのほう(短編集)を手に取ると、1ページ目の余白に、「読めるのは一篇だけ、あとは退屈だ。お勧めできない」という手書き文字が。

親切というか余計なお世話というか、世の中には色々な人がいるなあ。わざわざ「つまらないよ」と書いてから古本屋に売ったのか。ミステリの犯人を途中に落書きするよりはマシか。これは体験したわけではなく、都市伝説みたいなものだが。出鼻をくじかれたので、もう一冊のほうを買った。

・300:1(54)作:J・T・マッキントッシュ
スコットランドの作家らしい。アシモフ「鋼鉄都市」やクレメント「重力の使命」と共にこの年のベストSFに選出された、と福島正実が書いている。冗談でしょ。どこのベストなんだ、それは。

結論から言うと、すさまじくダメだった。いい加減な上に退屈だ。太陽が高熱を発して、地球は滅びる。ロケットで火星に移住するしかないが、全人口の300分の1しか乗れない。これがタイトルの意味だ。主人公は三千人の町から十人を選出する。面白くなりそうな題材だが、間延びして締まりがない。
次の章では十人を乗せた小型ロケットで地球を脱出する。「途中で燃料が尽きたら、火星に届かない」え、宇宙飛行ってそういうものか?「軌道に乗るか着陸か、どっちにする」いや、着陸のために軌道に乗るんじゃないのか、ふつうは。昔の本だし、いい加減でも許すよ。面白ければ。思い切りつまらない。
最終章は奇跡的な幸運に恵まれて着陸できた人たちの火星暮らしが描かれる。SF的な趣向は皆無で、暴力夫と被虐待妻が主要な話題である。ああ、くだらなかった。SF黄金期だからイギリスだから傑作とは限らない。どんな時期にも宝石とクズは混在していたのだ。当たり前だけど。★

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