mixiユーザー(id:2615005)

2015年07月17日23:48

609 view

筒井康隆は子供向けでも本気を出す

山本弘のビブリオバトル二巻の後書きで、筒井康隆の「SF教室」が復刊されたということを知り、通販で買った。
「筒井康隆コレクション1 48億の妄想」(出版芸術社)という本だ。
表題作と「幻想の未來」が収録された分厚い本だ。この二長編は当然読んでいるので、目当ては「SF教室」のみ。
筒井康隆が70年に出した子供向けの手引書だ。長らく幻の名著と言われていた。よくぞ復刻してくれた。豊田有恒・伊藤典夫との共著だが、やはり筒井さんの担当部分が格別に熱い。年少の読者向けにわかりやすく、しかし真剣にSFの素晴らしさを説く姿勢に感動をおぼえる。
「SFとはなにかと訊ねたら、十人が十通りの答えをするだろう。実はぼくもよくわからない」子供相手になんと正直な。誠実な人柄が伝わってくる。
歴史から現状(もちろん70年の)まで高密度に網羅されていて、資料的価値も高い。貴重な図版や写真が満載だ。作家の写真がみんな若々しく、懐かしい。「ファンレターを出そう」と住所が載っているのに驚く。このころは有名人の住所は公開されてたんだよな。
「SF小説は、何よりも小説でなければならない」という筆者の言葉に大きくうなづいた。そのとおりだ。いくらヴィジョンが壮大でも、退屈では読む気がしない。

ついでに講談社青い鳥文庫から出た児童SFを読んだ。
・三丁目が戦争です 作:筒井康隆
私はかなりの筒井ファンだと思うが、子供向け作品は盲点だった。
表題作は、まあ見事に筒井作品である。小学生相手でも手加減ということをしないんだな。思い切りブラックで残酷だ。前書きに「戦争を茶化した作品を書いてきたが、子供相手なので良識的な結末を選んだ」とある。これで良識なのか。確かに戦争なんかロクな結果にならないという真実は、痛いほど伝わってくる。

「赤ちゃん怪物ベビラー」は巨大化した赤ちゃんが町を破壊する。子育てしながら思いついたんだろうか。大人が攻撃できず苦慮するところがユニークだ。
「うちゅうをどんどんどこまでも」最後の一行でひっくり返る。いやーー、やっぱ筒井さんはいいわ。★★★★

このシリーズで小松左京の本も読んだが、長くなるので紹介は明日にします。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年07月>
日 月 火 水 木 金 土
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031