・少年少女漂流記 作・古屋×乙一×兎丸
何気に買った本だが、大当たりだった。
イラスト入り小説かと思ったら、漫画だった。原作は贔屓作家のひとり乙一。作画が古屋兎丸。古屋という漫画家にはあまり馴染みがないが、京極夏彦の『南極人』のイラストを担当した人だ。精密かつ個性的な画風で、かなりの実力者である。
何らかの理由で世間との折り合いがつけにくく、将来に不安を抱える少年少女を描いたオムニパス短編集である。
いかにも乙一らしい奇抜な発想と古屋の精緻な絵がうまく反応して、とても質の高い短編集になっている。
第二話「アリのせかい」第三話「魔女っ子サキちゃん」第五話「お菓子帝国」の三本が特に素晴らしい。いずれもビジュアルでしか表現できない内容なのが、さすがである。こうでなくては原作つき漫画の意味がない。
最終話の決着にも感心した。現状をブラックに描く作家は何人かいるが、《絶望》するだけでは何も始まらない。本作の前向きな作風に拍手を送りたい。★★★★★
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