「逃げ上手の若君」19巻
石津の戦いが終わった。偽情報で軍の位置を誤認させるという戦術が上手くはまったと思ったのだが。師直を討ち取る寸前で尊氏が救援に駆け付けるシーンなどは、少年漫画的ご都合主義の言わば正反対だ。
現実に鎌倉幕府が倒されて足利尊氏が室町幕府を開いたのだから、大きな流れは変えようがない。北畠顕家のキャラと死に様は鮮烈な印象を残した。ぼんやりとしか知らなかった南北朝時代がビジュアルも美しく描き出され、読み応えのある歴史ドラマになっている。今後、北畠とか土岐の名を聞いたら、この漫画の人物を思い浮かべることだろう。主要人物だけでなく、「印字打ち(投石)は弓矢に匹敵する殺傷効果があった」とか「初期の戦争では薙刀はあっても槍はなかった」など戦場のリアルも勉強になった。どちらも意外だった。
特に評価すべきは、凄惨な殺しあいの上に敗北する話なのに、明るく楽しい。普通以上に漫画として面白いのだ。アニメ二期も決定し、ますます期待が高まる。★★★★★
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