『座頭市の歌が聞える』(66) 監督:田中徳三
13作目。季節は秋、枯れすすきの街道で物語が幕を開ける。
浪人・玄八郎(天知茂)は、女郎に堕ちた恋人のお蝶(小川真由美)を救うため、三十両で市を殺すことを引き受けた。久しぶりの天知茂だ。ラスボス格のネームド浪人としてはこの人が最も似合っている。勝利を収め親玉の所へ乗り込んだ市は「お侍は死んだけど、仕事はやろうとした」と身請け金の三十両を強奪する。理にかなってるかな。大好きなシーンだ。
盲目の琵琶法師(浜村純)が市に殺生の無益さを説く。言ってることは正しいけど、殺す気で襲ってくる敵は殺すしかないではないか。★★★★
『座頭市海を渡る』(66) 監督:池広一夫
14作目。船で四国に渡る。田中邦衛がお喋りな乗客として出演している。市が関八州から離れるのは珍しい。斬った相手の菩提を弔うため、札所巡りをするつもりだ。が、早速馬に乗った刺客に襲われ、返り討ちにする。
刺客の姉お吉(安田道代)は市を憎んでいたが、ひたすら詫び続ける姿に心を開いていく。本作の敵は博労(馬飼い)の集団だ。山賊同然の悪辣さで、もちろん決戦になる。巨大な焼き肉(猪の丸焼きか)を食べるシーンが珍しい。百姓たちは村の危機にも隠れているだけで、市が賊を退治してくれることを期待している。弱者の狡さ卑劣さは、本シリーズで初めて描かれたテーマだ。苦い後味が新鮮だった。★★★★★
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