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2024年09月10日15:55

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「おんびんたれの禍夢」

・おんびんたれの禍夢 作:岩井志麻子
角川ホラー文庫書き下ろし。作者の本は量産文庫シリーズ以外はコンプリートしている。最近は失望することが多かったが、本書は久しぶりに当たり。

明治の末、富豪の次男坊・光金晴之介は、岡山から小説家を志して上京した。同郷の自称探検家・春日野力人の依頼で冒険記のゴーストライターをやることになった。美しい芸者・楠子のヒモとして暮らす傍ら執筆を続ける。
これだけでも凝った設定だが、晴之介には幼児の頃みっちゃんという妙齢の子守り女に怪談を聞かされた思い出がある。キバコの話が最も怖かったが、内容は忘れてしまった。

外国から送られてくる力人の写真や走り書きを物語に起こすのが本筋だ。全五章であるが、ひとつの章に幾つものネタが出てくる。戦前の東南アジアからインドにかけての怪奇譚が独特の魅力を放つ。戦前の「外地」は何やら怪しげで心引かれるものがある。膨らませたら長編が何本もかけそうなエピソードが満載だ。贅沢と言うか、勿体ない気がする。明快な決着がつかない話が多い。それもまた味わいだ。
最終章でみっちゃんとキバコの謎が明かされる。デビュー作以来、久々のスマッシュヒットだ。★★★★
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